乃木坂46 西川七海 評判記

AKB48, 乃木坂46

西川七海(C)ORICON NewS inc.

「二人目の”ななみ”」

西川七海、平成5年生、AKB48の第八期生であり、乃木坂46の第二期生。
AKB48の8期生を取り囲み打ちのめした不寛容さ、乃木坂46の2期生に与えられた悲痛。その2つの不遇に遭遇した西川七海は、――トップアイドルグループのオーディションを2度くぐり抜けた幸運に対して矛盾するものの――アイドルとしての境遇に恵まれない、”雨女的”な不運を呼び込む人物と云えるだろう。AKB48を去ってから4年後、乃木坂46の物語に再登場する……、おそらく、今後再現される可能性がきわめて低い、稀有なストーリーを持つが、再び手に入れた夢の暮らしに夜明けの光りが降ることはなかったようである。
1期の中心メンバーにまでのぼりつめた秋元真夏とのつながり、橋本奈々未に次ぐ”ななみ”である点など、アイドルとアイドルの関係性において、グループのファンの興味を引くとりあえずの材料、足がかりは持っていたが、それらを上手く活かしアイドルを両足で立ち上がらせるまでには至らなかった。
このひとの特徴、いや、アイドルとしての弱さとは、「夢と現の境界線を明確に線引してしまう浅慮」にある、と云えるだろうか。とりわけ日常の演技が古臭く、一般大衆がイメージするであろう、いかにもアイドルといったイメージを作ってしまう点はともかく、そうした陳腐さ、人気・知名度を稼ぐために自己を偽り捻じ曲げるという行為に、ほかでもない西川自身が倦んでいるように見えた点、アイドルを演じることの幼稚さに向ける吐息が今にも聞こえてきそうなほど、醒めきっていた点が、このひとが失敗した要因だろうか。
かつて自分を憧れの夢の世界から追い出した”AKBファン”の野次、清廉潔白であることを致命的に裏切るその「過去」を背負ったアイドルの出現に興を殺がれた”乃木坂ファン”から向けられる、あらたな敵意。それらをはねのけて見返そうとする西川の姿勢、意気込みは、きわめてスリリングなアイドルの誕生を期待させたが、なかなか思うように人気を獲得できない現実を前に、あっさりと心が挫けてしまったようである。古い自分を毀し、あたらしい自分を作りたい、と決意表明をした七夕の夜から、わずか10ヶ月でアイドルの幕を閉じた。

 

総合評価 36点

アイドルの水準に達していない人物

(評価内訳)

ビジュアル 9点 ライブ表現 6点

演劇表現 7点 バラエティ 7点

情動感染 7点

AKB48 活動期間 2009年~2009年
乃木坂46 活動期間 2013年~2014年