AKB48 永尾まりや 評判記

「ファンの欲動を掻き立てる」
永尾まりや、平成6年生、AKB48の第九期生。
一見してわかるとおり、ビジュアルに優れたアイドルである。アイドルを眺める人間の後ろめたい部分を鋭く爪でひっ掻くような、スマートに、ただ綺麗だと言い切るには躊躇する、個性と呼ぶべき美貌をもっている。
デビュー当時は、正義感の甘い匂いのする潔らかな少女であったようにおもうが、美貌をそなえていることがアイドル自身の方向性をも決定的にしたようである。とりわけ、グラビアへの意欲的な姿勢、ファンの欲動を掻き立てるアイドルだという点においては、もはや右に出るものはいないのではないか。
一転、AKBにしては美しすぎたのか、別の言い方をすれば、”AKB的”ではなかったのか。たとえば「庇護欲」への希求に乏しく、そのビジュアルの素晴らしさに反して、人気の面でかなり苦戦している。テレビドラマの配役を、台本の読み合わせ当日に変更されたり、プロデューサーである秋元康と一度も会話を交わすことなく卒業を迎えたり、境遇の面においても――その資質にしては――辛酸を嘗めている。あるいは、乃木坂46のデビューを前にしても、――同業者はともかく、ファンの多くがその出来事を意識的に看過できたのは、乃木坂と同等の美貌をそなえた少女がAKBにも確かに存在し、またその少女が人気・声価に芳しくないという事態に直面していることの、いわばその事態をファンみずからがつくり出していることの、心地良さにあったのかもしれない。
総合評価 64点
アイドルとして活力を与える人物
(評価内訳)
ビジュアル 15点 ライブ表現 11点
演劇表現 14点 バラエティ 11点
情動感染 13点
AKB48 活動期間 2009年~2016年