AKB48 早野薫 評判記

「シャイニングガール」
早野薫、平成4年生、AKB48の第二期生。
ミラーボールの下、シックで凛としたシルエットを映すが、”神様に縋らずに暮らせればいいのに”と呟くガリンペイロの若者のような翳りがあり、自分の弱い人間性を受け入れた女性特有の芯の強い聡明さをファンに投げつけている。眩しい深緑や蒼のスポットライトに照らされながら、”掴んだチャンス”を逃さないように、マイクを握りしめながら、彼女は自分だけの歌を唄っている。
この、『Prelude』を演奏しているのは、AKB48の早野薫ではなく「早乃香織」なのだが、舞台装置の上で大仰な仕草を作るクセは当時のまま今も変わっていないようだ。手を伸ばせば触れられる場所に立つ観客へ向ける視線のなかに、身振り手振りのなかに、たしかに、アイドルを演じていた頃の面影がある。グループアイドルだった頃の彼女には、楽曲の詩的世界を演じずに現在の自分を直向きに表現しようとダイナミックに踊る少女には、その年齢に似つかわしくない利発さがあった。洗練というよりも奇妙な成熟があった。”現実的”な、本物の処女性というよりも、俗悪さを抱えた大人が希求する歪んだ処女性をそなえていた。なによりも、それを本人が、13歳の少女が自覚している点に、安易にはかることのできない不気味さがあったことを克明に覚えている。彼女の内では、大人を虜にする妖艶と子供の攻撃的な無邪気さの共存が許されていて、触れてはいけないものにふせぎようがなく触れてしまう性=禁じられた遊びに、大人たちは否応なく遭遇することになった。”彼ら”は妄執に囲繞されることになった。
総合評価 57点
問題なくアイドルと呼べる人物
(評価内訳)
ビジュアル 12点 ライブ表現 14点
演劇表現 13点 バラエティ 9点
情動感染 9点
AKB48 活動期間 2006年~2009年