AKB48 Green Flash 評価

「いつか観た古いフランス映画」
ライブステージではなく、演劇映像によって存在理由を満たそうとシーン全体が傾倒していく時代にあって、その基準線と転換線がクロスした地点が「Green Flash」である。過去にもそのようなクロスは存在したかもしれないが、トレンドを発生させたのはこのグリーンフラッシュが初だろう。映像自体は典型的な群像劇であるものの、登場人物を描写するためにめまぐるしく展開する場面に切れ目を感じさせない。映し出される「風景」がそのまま”なにか”の追体験として観者自身の季節の記憶とされていく。グリーンフラッシュを見るとしあわせが手に入るのではなく、グリーンフラッシュそのものをしあわせとして捉えてしまうアイドルの視線を描いている。つまり、演者の演劇力、表現力への批評展開が容易な楽曲でもある。表現力で群を抜いているのは松井玲奈だろうか。宮脇咲良の表情も良い。この楽曲で彼女がみせる疾走感を伴う「憂い」こそ、アイドル・宮脇咲良の本来のあり方なのではないか、とおもう。ぎこちない、均一な笑顔だけがファンに活力を与えるのではないという事実を再確認できる。
総合評価 86点
現代アイドル史に名を残す作品
(評価内訳)
楽曲 18点 歌詞 14点
ボーカル 19点 ライブ・映像 18点
情動感染 17点
引用:見出し AKB48 Green Flash
歌唱メンバー:生駒里奈、入山杏奈、柏木由紀、川栄李奈、木﨑ゆりあ、小嶋陽菜、小嶋真子、指原莉乃、島崎遥香、高橋みなみ、松井珠理奈、松井玲奈、宮脇咲良、山本彩、横山由依、渡辺麻友
作詞 : 秋元 康 / 作曲 : Carlos K. / 編曲 : 佐々木 裕