STU48 ヘタレたちよ 評判記

「ヘタレたちよ」
歌詞、楽曲、ミュージックビデオについて、
7枚目シングル。センターは瀧野由美子。
長い夜が明け、『暗闇』から続く物語に一応の終止符が打たれた、ということなのだろうか。ここに来るまで、色々なものを失い、様々な稚気を描いたようである。では喪失を経験し成熟したのか、と言えば、けしてそんなことはなくまだまだ未熟なアイドルの集合であり、それぞれが成長への余白を残している。だからきっと”ヘタレたち”なのだろう。
”ヘタレたちよ”、これはなかなか大胆なタイトルだが、アイドルへのたしかな写実があるようにおもう。岡田奈々からの最後のメッセージ、という体裁をとっているが、この詩情を読むに、作詞家がアイドルと共に闘おうとしているような、青く瑞々しいものに触れる。とくに一番の歌詞が素晴らしい。砂浜の上で踊るアイドルの姿形と強く響き合っている。
ミュージックビデオの内に描かれたアイドルの表情で良いとおもったのは、まずやはり小島愛子。このひとは日常の再現が巧みなのだろう。次に今村美月。以前よりも、表情がやわらかくなったように感じる。ダンスシーンでは石田千穂、中村舞に惹かれた。全編通して一番良かったのが甲斐心愛。1期でありながら「次世代」を担ってしまうアイドルとは、否応なく、目に見える成長を求められてしまうものだ。甲斐心愛はこの要求にしっかりと応え、成長を遂げているように見える。
総合評価 63点
再聴に値する作品
(評価内訳)
楽曲 13点 歌詞 14点
ボーカル 10点 ライブ・映像 13点
情動感染 13点
歌唱メンバー:石田千穂、石田みなみ、今村美月、岩田陽菜、岡田奈々、沖侑果、甲斐心愛、門脇実優菜、瀧野由美子、中村舞、福田朱里、矢野帆夏、小島愛子、高雄さやか、田中美帆、立仙百佳
作詞:秋元康 作曲:A-NOTE、N-Sound 編曲:野中“まさ”雄一