日向坂46 何度でも何度でも 評判記

「何度でも何度でも」
楽曲、歌詞について、
『ってか』のカップリング曲であり、『高校生クイズ2021』公式応援ソング。センターは上村ひなの。
アイドルの横顔を通して自身の青春を振り返る、青春の反復を試みるのが作詞家・秋元康の特徴であり、得物である。夢に対する活力をノートに記すとき、やはり作家のその筆づかいには力強いものがある。今作においては、同様のテーマを扱った『全力グローイングアップ』や『今日は負けでもいい』のような、あるいは前作にあたる『明日がある理由』のような若者に向けた純粋な励まし=活力ではなく、「世の中」という枠組みをまず置いて、それに対する反動や反抗を書くことで勇気を与えようとする、無垢さへの寄り添いがある。一捻り加えた、ということなのだろう。
こういった歌詞を書くとき、若者を過剰に意識するならば、やはり啓蒙色を強めないこと、要するに説教臭くならないようにすることが大事なのだが、その点を見事にクリアした上記3作品と比べると今作はやや啓蒙が強く感じる。作詞家自身、勇気を出して一歩踏み込んだ、と解釈すべきか。
ミュージックビデオについて、
日向坂46=青、というイメージを背景にしつつ、作詞家の詩情をストレートに解釈し、その詩的世界をそのまま再現している。何度でも何度でも壁を叩けば夢はつかめる、大衆とは真逆に走り出すこと=反抗することで一歩を踏み出せる、それを理解してくれる仲間も必ずいる、という作詞家のイノセンスに上手に応答している。ただ、演出がやや大仰か。
総合評価 56点
聴く価値がある作品
(評価内訳)
楽曲 12点 歌詞 12点
ボーカル 9点 ライブ・映像 12点
情動感染 11点
歌唱メンバー:佐々木久美、影山優佳、高本彩花、加藤史帆、佐々木美玲、齊藤京子、東村芽依、高瀬愛奈、潮紗理菜、濱岸ひより、宮田愛萌、森本茉莉、髙橋未来虹、山口陽世、渡邉美穂、富田鈴花、河田陽菜、丹生明里、上村ひなの、金村美玖、松田好花
作詞:秋元康 作曲:後藤康ニ 編曲:後藤康ニ