乃木坂46 ぐるぐるカーテン 評判記

「2人きりの世界」
歌詞、楽曲、ミュージックビデオについて、
乃木坂46のメジャーデビューシングル。センターに選ばれたのは生駒里奈。
ライブパフォーマンス、ミュージックビデオで描かれた演技のいずれもが、歌い出しから音が鳴り止むまで、初々しく、拙く、デビューしたばかりのアイドル特有のコケットリーの瑞々しさがあって微笑ましい。歌唱メンバーに選抜されなかったアイドルたちもミュージックビデオの撮影に参加・登場しており、映像が、アイドルの扉をひらいたばかりの少女たちのパンフレットの役割を果たしている。この点は好感触。しかし楽曲そのものについて問えば、メロディ、詩情、いずれもAKB48の踏襲に過ぎず、デビューシングルだが借り物の構図に終始していて目新しさを見ない。
しかしまた一方では、平成が終わり、令和がはじまった現在、あらためてその詩を読むと、それがのちに誕生する欅坂46のアイデンティティ・テーマと強く響き合った詩的世界の、強い胎動を印している事実に気づく。作り手の思惟、その射程距離が長い作品、なのだろうか。ベールに包まれた稚気を価値のある特別な甘美だと錯覚する、幻想に没入して行く少女特有の思い入れが深刻ではなく茶番に見える、公衆的な無垢がある。あくまでも、少女たちは、おなじ場所からスタートして異なる閾へと分岐した、ということなのだろうか。
総合評価 47点
何とか歌になっている作品
(評価内訳)
楽曲 12点 歌詞 13点
ボーカル 7点 ライブ・映像 7点
情動感染 8点
歌唱メンバー:生田絵梨花、生駒里奈、星野みなみ、川村真洋、能條愛未、西野七瀬、齋藤飛鳥、斉藤優里、桜井玲香、井上小百合、中田花奈、市來玲奈、橋本奈々未、松村沙友理、白石麻衣、高山一実
歌詞:秋元康 作曲:黒須克彦 編曲:湯浅篤