乃木坂46 毎日がBrand new day 評判記

のぎざか, 楽曲

(C) 毎日がBrand new day ミュージックビデオ

「明日もBrand new day」

歌詞、楽曲、ミュージックビデオについて、

3期生楽曲。センターポジションに立つのは久保史緒里。
『しあわせの保護色』に収録されたカップリング曲のなかで、一番良い、と感じる。日常のあらゆる場面への浸透を試みる書き出しの一行、イントロダクション、その詩情とリズムには、リグレットや屈託を活力に塗り替える勇敢さを発揮する、感傷を凌ぐ複雑な深みがあり、豊穣だ。心を、静かに、ゆっくりと揺さぶられるみたいに、つよい励ましを貰う。花びらが散る、まばゆい光の下に佇むアイドル、その姿形は、季節の記憶を約束し、いつのまにか、「彼女」がわすれがたい人になっている、と気付く。『しあわせの保護色』に収められた楽曲群は「対象」を眺めることによって「過去」を想う、といった作りになっているようにみえるが、『毎日がBrand new day』では、普遍的な郷愁ではなく、自己にとってもっともかけがえのないものが形あるものとして宿命的に崩れて行く光景を、アイドルを鏡と扱い、克明に奏でており、文句なしに儚い。

計り知れない自己劇化は感情のみを情景化するアイドルを作り、少女たちは「物語性のようなもの」を握りしめることができなかった。”このまま歩きつづけてもいいけど”という「展開」の先に憂鬱を見てしまうが、しかしあくまでも少女たちは陽気に踊りつづけ、希望の火を灯す。暗闇を作る隙間を埋めるために、それぞれが、心に響くただ一つの明確な感情を頼りに、懸命に笑う。焚き火の炎に投影される横顔は、甘美で、穏やかで、どこか懐かしく、生命感に溢れ、儚くも鮮やか。
おそらく、現在のアイドルシーンにおいて、この12名のアイドルがもっとも洗練されていて、もっとも実力がある。とくに、演劇表現の分野においては、現実と仮想の区別なく「日常」のつづきを提示する細部の豊かさ、鷹揚さが招く逸楽は、AKB48から連なる通史のなかでも冠絶しており、索漠の色を塗り替える最後の奇蹟、その集合に映る。次の、あたらしい時代を生きる次世代アイドルたちは、闘うまえに、その背中を追いかけることを断念するのではないか、と想像するほかないほどに、圧倒的。

 

総合評価 71点

現在のアイドル楽曲として優れた作品

(評価内訳)

楽曲 14点 歌詞 13点

ボーカル 16点 ライブ・映像 15点

情動感染 13点

歌唱メンバー:大園桃子久保史緒里中村麗乃向井葉月与田祐希山下美月佐藤楓吉田綾乃クリスティー、伊藤理々杏、岩本蓮加、梅澤美波、阪口珠美

作詞:秋元康 作曲:APAZZI 編曲:APAZZI

 

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