乃木坂46 新しい世界 評価

乃木坂46, 楽曲

「本当の自分を僕は認める」

 

意欲作である。乃木坂46のアンダー楽曲全般に云えることだが、歌詞と映像が孕むメタファーとセンターポジションに立つアイドルに対する叙述の完成度。そして、それらが映像作品と、どのようにリンクをしているかの「考察」というコンテンツの提供。この3点を妥協することなく真摯な希求として、ファンに提供し続けるという創り手のモチベーションのたかさは、称賛に値する。

この「新しい世界」も安易にジェンダーをテーマにした楽曲ではない、ということなどファンならばすぐに気付くだろう。この勘付かせる、という誘導に成功している時点で作詞家の企みが成功している、と云えるが、この「新しい世界」の歌詞に孕むメタファーによって提示されたものとは、鈴木絢音(アイドル)に対する期待感を自覚させること、胎動という物語に終焉を迎えさせる覚悟の要求であろう。「それは痛切なものであると同時に宿命的なものである」

花世は言った。「昔はこんなこと考えつきもしなかったのに。」
「昔って、どれくらい昔?」
「意地悪ねぇ。」花世が髪を引っぱる。「男とやってた頃、ということにしておくわ。」
「容子は?」花世が訊いた。
「何もなかった。」私は即答した。「十八歳まで、私には何もなかった。興味を持ったこともね。」
「つまらない人生ねえ。」花世はからかった。
「自分には何かが欠けてるんじゃないかと気にしなかった?」
「全然。」
ベッドを下りた花世は私に体を寄せた。私たちは戯れを再開する。なぜ飽きないのだろうか。一年半近く体を絡め合っているのに、未だに指一本の感触も鮮烈である。花世と接吻を交わすたびに生まれ変わってでもいるかのようだった。

(松浦理英子「ナチュラル・ウーマン」)


総合評価 78点

現在のアイドル楽曲として優れた作品

(評価内訳)

楽曲 16点 歌詞 18点

ボーカル 15点 ライブ・映像 15点

情動感染 14点

 

歌唱メンバー:伊藤かりん、伊藤純奈、伊藤理々杏、岩本蓮加、梅澤美波、川後陽菜、斎藤ちはる、斉藤優里、阪口珠美、相楽伊織、佐々木琴子、佐藤楓、鈴木絢音、中田花奈、中村麗乃、能條愛未、向井葉月、山崎伶奈、吉田綾乃クリスティー、渡辺みり愛、和田まあや

作詞:秋元康  作曲:古川貴浩  編曲:古川貴浩

シングル収録トラック: Against 雲になればいい 新しい世界 スカウトマン トキトキメキメキ 言霊砲

評価点数の見方