乃木坂46 滑走路 評価

のぎざか, 楽曲

(C)滑走路 ミュージックビデオ

「今すぐに」

 歌詞、楽曲について、

乃木坂46の23枚目シングルのアンダー楽曲。センターで踊るのは寺田蘭世。
作詞家・秋元康にとって、自身の日常に溢れ出るセンテンスを衝動的に拾い上げ、それをアイドルを演じる少女に向け投げ付ける、というフェーズはすでに終わってしまっていて、アイドル側の日常=アイドルを通じてシーンに発生した話題を、自身の日常に当てはめ、物語を後天的に編み上げていく、という手法がルーチンになってしまったようだ。すこし退屈に感じる。たとえば、旅先で、海岸の砂浜を散歩しているとき、知らない誰かが落としたであろう「車の鍵」を拾ったとする。その「車の鍵」を眺めながら落とし主の憂鬱を想い、自身の過去にかさね合わせ、ストーリーを構築していく、そんな手法で今作品は描かれているようにみえる。要するに、アイドルの飛翔を直截に描いた作品であるのにもかかわらず、つまりアンダーメンバーが目の当たりにする「滑走路」をアイドルを飛翔させるための工具として表現し活力を与えるという啓蒙を記しているにもかかわらず、シーンへの安易な当てこすりをしている割にはアイドルへの写実が一切ないわけである。この場合、「車の鍵」が「滑走路」であるのは云うまでもない。
ただ、『滑走路』のような歌詞を書けてしまえる、これはクリシェに盲目であるがゆえの無頓着さのおかげなのだろう。しかしこの詩情ではファンの想像力の外側に回り込み、迎撃する=心を揺さぶることは困難におもう。なにか意味のある偶然の一致を描いているのだろう、という声を期待しているのであれば、これ以上のナルシシズム、鈍感の現れはない。

ミュージックビデオについて、

作り手にセンスがある、と手放しで称賛できる。グループアイドルの映像作品として、「群像」の成立に成功しているだけではなく、楽曲そのものの深化に貢献している。なによりもやはり映像が綺麗だ。色彩の連なり、ディティールの積み重ね、知的でデオドラントだが、没入がある。何かを問う、何かを問われる、というような切迫感を意図的に排除したのか、初夏の早朝の冷気をゆっくりと侵食する温さ、リアリティーを忘却させる明澄な世界を構築している。だが、むしろその偏りが生活に浸透する季節の記憶を作るのに役立っている。駅につづく早朝の路地、飯屋から運ばれてくる匂いによって、「滑走路」を聴いた現在(いま)を、この映像と共に、ファンはいつか想い出すだろう。

 

総合評価 66点

再聴に値する作品

(評価内訳)

楽曲 14点 歌詞 12点

ボーカル 13点 ライブ・映像 14点

情動感染 13点

歌唱メンバー:寺田蘭世、伊藤純奈、佐々木琴子、中田花奈、中村麗乃、樋口日奈、向井葉月、山崎怜奈、吉田綾乃クリスティー、和田まあや

作詞:秋元康 作曲:CHOCOLATE MIX 編曲:CHOCOLATE MIX

   

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