AKB48 ジワるDAYS 評価

ジワるDAYS ミュージックビデオ(C)AKB48/youtube

「他人事でしかなかった」

歌詞、楽曲について、

卒業ソングとしては陳腐であり、「指原莉乃」の集大成として彼女に贈られたメッセージとしては巧緻の魅力を消却している。一言で云うと芸が無い。むしろ、指原莉乃という”平成最後の大物アイドル”の達成や快挙、病弊を平準化してしまうような安易な表現に満ちた科白の直面は、作手からアイドルの「卒業」に対する関心が消失してしまったのでは、と疑念を抱かせるほどである。圧迫に満ちたシーンを生き抜き、女王と成ったアイドルに贈られるべき科白がひとつも用意されていない事態をどう解釈するべきか逡巡させられる。「駅へと続く坂道を何度二人で歩いただろう」や「桜の花が散ったって他人事でしかなかった」(*1)という描写は写実的であり、多くのアイドルをターミナルキャラクターとして扱ってきた作詞家の俗悪さが指原莉乃の功罪にリンクして行く点に尽きない興味があるものの、それを、唐突に置かれた独白とは見做さない、と穿つならば、やはり前後の詩があまりにも幼稚に映ってしまうことになり、作詞家・秋元康にとって、アイドルとは何処まで行っても、何時まで経っても「子供」なのだろうか、という問いに打つかる。この感覚はファンがアイドルに対して永続的につくる妄執と類似しており、そのような観点では、企みがある、と云えるかもしれない。

ミュージックビデオ、ボーカルについて、

”AKB48の表題曲に選抜される”、これは現代アイドルにとってひとつの到達点であるはずだ。さらに、その猛者たちをかき分け、中央に屹立しスポットライトを浴びるとなれば、これはもう、”宿命”と表現するしかないのだが、カルマに鷲掴みにされる場所で、女王が歌い出すとき、独り唄うとき、スピーカーから流れてくる声が一体誰の”声”なのか、わからない。その慣習化された茶番劇には、ただ、呆れるばかりである。加工された滑稽な歌声を聴いてもノスタルジーの訪問など起きない。つまり、季節の記憶としては成立しない。しかし、「ジワるDAYS」は卒業ソングである。映像作品については、構造や展開に作手のアイデアがまったく感じられず、アイドルへの演技要求や、集合したトップアイドルたちが抱える個々の物語をつなぎ合わせる試みも一切、ない。クロニクルというテーマに対して、「衣装」を並べる…、どこかで観たことのある光景…、この愚の退屈さ、観者と演者の浅薄にもたれ掛かる甘えにファンは何時まで耐えられるだろうか。この作品を鑑賞したアイドルのなかで、自分もこの世界の登場人物になりたい、と決意するアイドルが果たしてどれだけ居るだろうか。卒業ソングという位置づけであるのに、入れ替わりへの導線が機能していない為、グループアイドルの通史に対する裏切りが露出しているが、各演者の存在感、各々を主人公とした強烈なスピンオフの把持によって辛うじて「歌」になっている、救われている、という印象。

 

総合評価 45点

何とか歌になっている作品

(評価内訳)

楽曲 11点 歌詞 7点

ボーカル 4点 ライブ・映像 10点

情動感染 13点

引用:見出し、(*1)AKB48/秋元康 「ジワるDAYS」

歌唱メンバー:岡田奈々岡部麟、荻野由佳、小栗有以柏木由紀、坂口渚沙、指原莉乃、下尾みう、白間美瑠、菅原茉椰、須田亜香里高橋朱里瀧野由美子、田中美久、中井りか松井珠理奈、松岡はな、向井地美音、矢作萌夏、山内瑞葵、横山由依、吉田朱里

作詞 : 秋元 康 作曲 : 吉田 司、塚田 耕平 編曲 : APAZZI

評価点数の見方

AKB48, 楽曲