乃木坂46 今、話したい誰かがいる 評価

乃木坂46, 楽曲

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「僕の部屋 片隅で漫画読んでる」

「一本のコーラ 2人飲んでから 急に僕たちはドキドキとして お互いに異性だと思いだす」(*1)

このような描写は、誰が読んでも、聴いても、一定の共感ができる仕掛けになっている。作詞家の実体験を書き綴ったメモからの抜粋なのでは、と予想をしてしまうほど、誰にでも起こり得る、人生のなかで通り過ぎてきたかもしれない日常の抜粋である。子規の云う「写生」の要件を充たす描写である。「コーラ」という具体的な名称を書くことでリアリティーを生み出すことに成功している。例えば、ただ月が浮かんでいると描写するよりも、「東京の月」と書くことでそこに登場人物の目線や彼らが生きる時代を感じることが出来るだろう。これはガルシア・マルケスのマジックリアリズムに繋がる。この一文だけでも文句なしに文学の域に達していると評価できる。文学である、ということは、それはこれからも、くり返し聴かれる歌詞(楽曲)である、ということだ。

映像作品については、力作である。現代のアイドルポップスとの付き合い方、向き合い方を決定づけた作品と云えるだろう。作中で西野七瀬の手話に「触れてしまった」白石麻衣の表情。この表情に彼女の演劇という分野への高い資質と可能性を感じることができる。演じることが日常になりつつあったアイドルたちが、新たな壁への遭遇と発見、苦悩と渇望。その感情が映像として、ひとつの、まとまりのある、しかし未成熟でもある虚構を作り上げていく快感と達成感こそ、アイドルの枠組みを毀す”成長”に繋がったのである。しかし、この映像の最高到達を最終到達点として、以降、乃木坂46のミュージックビデオ(表題曲)へのモチベーションとクオリティはゆっくりと斜陽していくことになる。

 

総合評価 83点

近代アイドル史に名を残す作品

(評価内訳)
楽曲 17点 歌詞 18点

ボーカル 16点 ライブ・映像 19点

情動感染 13点

引用:(*1) 乃木坂46 今、話したい誰かがいる

 

歌唱メンバー:桜井玲香、若月佑美、生駒里奈、松村沙友理、伊藤万理華、井上小百合、齋藤飛鳥、高山一実、橋本奈々未、生田絵梨花、秋元真夏、星野みなみ、衛藤美彩、西野七瀬、白石麻衣、深川麻衣

作詞:秋元康  作曲:Akira Sunset、APAZZI  編曲:Akira Sunset、APAZZI

 

評価点数の見方