NGT48 西潟茉莉奈 評判記
「なにがあっても夢を諦めない」
西潟茉莉奈、平成7年生、NGT48の第一期生。
歌にしてもダンスにしても、トップアイドルの水準と比べれば、かなり低いところにある。けれどその未熟さが――ここで言う未熟さとは、永遠に変わることのない未熟さ、ということになるが――西潟茉莉奈というアイドルの魅力を支え、彼女が「アイドル」を延伸していくことの核になっている点もまた否定できない。
この人もまた、バイトAKB参加者である。同カテゴリー出身の少女を並べ「なにがあっても夢を諦めない」と呼号し、「アイドル」をプレステージにして立ち上げたグループがNGT48なのだが、西潟はそうしたスクール・カラーを音楽のなかで融通のきかない憧憬として、提出している。
歌うことが好きなのだから、下手でもかまわない、全力で歌う。調律の狂った声でもかまわない、気持ちを込めて歌う。という音楽に向ける誠実さが、「アイドル」本来の魅力を引き出しているのはもちろん、「山口真帆 暴行被害事件」の余波によって大衆から傷めつけられた経験に端を発する反動、執着心、めげない気持ちの強さを裏付け、「なにがあっても夢を諦めない」と叫ぶグループのカラーに帰結しているかに見える。
「山口真帆 暴行被害事件」が彼女にあたえた影響をもうひとつ挙げれば、アイドルとファンの関係性にある種の逆転が生じている点になるだろうか。人間に捨てられた経験を持つ飼い猫が、あたらしい飼い主のもと、その動向を探るため、常に周囲の気配をうかがい、浅い眠りのなかで聞き耳を立て緊張するのとおなじように、事件以降、西潟茉莉奈も常になにかに身構え、気負っているように見える。そうした空気を察知した彼女のファンは、しかしそれに気づかないふりをして、物事が好転するのを待つように、歌をうたう彼女をまっすぐに見守る、という、ちょっとほかでは見られないような、穏やかな空間がそこには広がっている。
総合評価 62点
アイドルとして活力を与える人物
(評価内訳)
ビジュアル 12点 ライブ表現 10点
演劇表現 13点 バラエティ 14点
情動感染 13点
NGT48 活動期間 2015年~