NGT48 西潟茉莉奈 評価

NGT48

西潟茉莉奈(C)NGT48Instagram公式アカウント

「春の歌」

長いトンネルをくぐり抜けた時
見慣れない色に包まれていった
実はまだ始まったとこだった

草野正宗 / 春の歌

西潟茉莉奈、平成7年生、NGT48の第一期生。
この人もまた、バイトAKB参加者である。NGT48とは、荻野由佳の物語が象徴するように、アイドルの物語の作り方そのものがバイトAKBという存在に包括されている。なにがあっても夢を諦めない、という姿勢の強さを育んだのも彼女たちの短編がバイブルとなったからだろう。ともすれば、それは「アイドル」が概念としての存在から飛び立ち、職業としてプレステージを持つことの”しるし”と云えるかもしれない。
職業アイドルらしく、西潟茉莉奈は仮想恋愛に特化した、今日のシーンではとくにめずらしくもなくなった、凡庸なアイドル、というイメージだが、実際に彼女を眺めてみるとその印象は覆される。まず、落ち着きがない。ファンから耽溺される、仮想恋愛の名手とは、どこか落ち着き払った、ファンを没入させる独自の時間軸のようなものを把持するが、西潟にはそのような空気感は具わっていないようにうかがえる。
猫好きだと語る彼女を眺めながら気づくのは、そう語る彼女の仕草そのものが猫に見える、というおもしろさである。一度人間に捨てられた経験を持つ子猫が、あたらしい飼い主の動向を探るため、常に周囲の気配をうかがい、聞き耳を立て緊張するのとおなじように、西潟茉莉奈も常になにかに身構えているようにみえる。彼女はとにかく忙しない。しかしそういう人が、ふいに安堵した雰囲気を出すから、その空気感をこわさないようにと、ファンが気遣い、ちょっとほかでは見られないような、心地よい空間が出来上がるのだろう。そのような意味では、西潟茉莉奈は、秋元真夏惣田紗莉渚といった仮想恋愛の名手とは異なる、むしろ逆転した仮想空間を築くアイドルと呼べるだろうか。たしかに、そこには引き込まれる魅力がある。しかもそれは、知謀によって編みあげられた仮想恋愛というキャラクターの奏功ではなく生まれ持った資質による働きかけと云えるため、素朴さすら受け取る。
あえてケチをつけるならば、やはりライブ表現力の頼りなさになるだろうか。楽曲を自分なりに解釈しようと試みる姿勢、快活に歌を唄う姿は斉藤優里のような技術的問題を振りはらう「活力」の所持を伝えるものの、まだそれをうまく鑑賞者の懐に落とし込めてはいないようだ。もし、それでもへこたれずに、歌に向ける現在の姿勢を維持できるのなら、どこかの段階で、一転、歌を唄うことが得物になるのではないか、と想像するのだが。アイドルの歌や踊りとは、演じるアイドルの物語そのものであるから、技術的な未熟さを無視して鑑賞者に「活力」を与えるという光景が達成されるのならば、その長いトンネルをくぐり抜けたのならば、それは同時に、職業としてのアイドルの内に、「アイドル」がそなわった、と云えるのではないだろうか。

 

総合評価 58点

問題なくアイドルと呼べる人物

(評価内訳)

ビジュアル 12点 ライブ表現 6点

演劇表現 13点 バラエティ 13点

情動感染 13点

NGT48 活動期間 2015年~

 

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