乃木坂46・各メンバーの代表曲を決める

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Time flies 賀喜遥香 ジャケットデザイン(C)乃木坂46公式サイト

「アイドルの物語化」

乃木坂46がデビュー10周年を記念し、ベストアルバム『Time flies』を発売する。リード曲は直近で卒業発表をした生田絵梨花がセンターに立つ『最後のTight Hug』。作曲に杉山勝彦を迎えた本作は、『君の名は希望』から本格的にはじまったひとつの豊穣な物語に集大成が描かれるのではないか、と早くもファンを期待感で包んでいる。また、今作『Time flies』は、メンバーのそれぞれがみずからセレクトした楽曲の衣装をジャケットデザインとした、カスタムジャケット盤をラインナップするという。なんとも贅沢な仕様となっている。その色彩豊かなジャケット写真を眺めれば、ファンは、自身の”推す”アイドルがどの楽曲に思い入れをもち強く抱きしめているのか、あらためて思い馳せるのではないか。きっと、そうした時間の流れのなかでこそ、ファン個々の内でアイドルの物語が育まれ、「アイドルの物語化」が起きるのだろう。
アイドルの物語、これは要するに、作詞家・秋元康の編み上げる楽曲との響き合いを読む行為によって育まれる、ひとつの掌編小説である。作詞家の記す詩情の内にアイドルの横顔を目撃することによって、ひとつの物語が眼前に立ち現れる。たとえば、ミュージックビデオや個人PVを制作する映像作家もまた、アイドルと楽曲との響き合いを読む探求者の一人と呼べるだろう。楽曲をヒントにしてアイドルの物語を自己の内で編み上げるという作業をほかのだれよりも先に取り組むのが、かれら彼女らなのだ。ファンがミュージックビデオを眺め、そこにアイドルのストーリーを見出せるのは、映像作家たちがまず、楽曲をヒントにしてアイドルの物語化を試み、またその試みにアイドルが応答するからである。ゆえに、映像作家に過剰な妄執をあたえ、このアイドルを語りたい、ファンに教えたい、と衝動に駆らせるアイドルは必然的にミュージックビデオ(個人PV)というコンテンツにおいて強い存在感を放つだろうし、順位闘争の場でも有利な立場を築くことだろう。
眼の前で動くアイドルが、作詞家・秋元康の提示する詩的世界の住人に見えるのかどうか、この点が現代でアイドルを演じる少女の明暗を分けるのだ。

今回は、乃木坂46の各メンバーが一体どの楽曲と響き合っているのか、という視点のもとに、各メンバーの代表曲を独自に探り、決めていこうとおもう。といっても、それは秋元康みずからが、誰々に「あてがき」をした、と公言した作品を探し出し情報を並べる、という作業ではない。もちろん、秋元康から「あてがき」をもらったアイドル、要するに楽曲のセンターに選ばれた少女、彼女たちは、この、アイドルの物語化という話題に対し有利な立場に立つのは間違いない。センター、これはやはり特別な場所であり、存在である。しかしセンターに立ったからといって必ずしも「あてがき」をもらえるわけではないし、「あてがき」をもらったとしてもその詩情とアイドルが通い合うことができなければ、楽曲とアイドルのあいだにへだたりが生じ、物語は虚しく空転してしまうだろう。つまりセンター=そのひとの代表曲とするのは、きわめて安易、とおもう。
やはり、楽曲に付された詩的世界の登場人物になりきる、この点が肝要になる。センターに選ばれなくとも、秋元康に「あてがき」されなくとも、作詞家が記す物語の登場人物になりきることは誰にでもできる。日常の立ち居振る舞いのなかで、主人公の「僕」あるいは「僕」が片想いする「君」とおなじ行動選択、おなじような表情、おなじような物語を描くならば、当然、ファンはその楽曲に触れた際にアイドルの横顔を想起し、自己の内でアイドルの物語化を進行させる。
また、作詞家の意図、アイドルの意思にかかわらず、過去に作詞家が記した物語を、未来を生きるアイドルがなぞってしまう……、つまりアイドルの物語がある楽曲の歌詞の内にすでに書かれていた、という状況ももちろん起こり得る。
こうした、アイドルの物語化への”パターン”を大別すると以下のようになる。

1、作詞家から「あてがき」をもらい、そのとおりのアイドルを演じる
2、楽曲に付された詩的世界の住人にみずからなりきる
3、アイドルが詞に迎え撃たれる、あるいは迎え撃つ

また、「秋元康」という枠組みを考えるとき、当然、その楽曲数=情報群は膨大なものになる。さらに云えば、乃木坂46が演奏した楽曲であればイコール乃木坂46のメンバーと反響する、というわけでもない。たとえば、乃木坂46の『空扉』ともっとも響き合い迎撃されたのは渡辺麻友だし、けやき坂46の『イマニミテイロ』と強く通い合うのは松井珠理奈である。秋元康からすれば、アイドルグループの垣根、これはほとんど意識されていない、ということなのだろう。詩作とは、超越的にふるまう仕事であるから、当然と云えば当然なのだが。
ただ当記事においては、情報の取捨選択を意識し膨大な情報群に対し開き直ることにする。情報とは、多ければ多いほど良い、というものではない。今回は、対象をアイドル、楽曲、共に「乃木坂46」のみに絞った。ブッキッシュな「探求」にあたり、乃木坂46に提供されたすべての楽曲を振り返り、歌詞カードを眺め、ミュージックビデオがあるものはそれにも目を通した。結果、各メンバーともっとも響き合い密着した楽曲は以下のようになった。また、当記事は、アイドルに対する発見があり次第、順次、追記していくことにする。
このリストを眺め、そのアイドルとその楽曲をあらためて重ね合わせ、アイドルを自己の内で物語化する際の、一つのヒントとして役立つならば、幸いである。

  1期生
秋元真夏ガールズルール
安藤美雲該当なし
生田絵梨花:(失いたくないから) 君の名は希望 → 何度目の青空か? → 帰り道は遠回りしたくなる
生駒里奈Against
市來玲奈いつかできるから今日できる
伊藤万理華:あの日 僕は咄嗟に嘘をついた → 行くあてのない僕たち
井上小百合:あの日 僕は咄嗟に嘘をついた → 行くあてのない僕たち
岩瀬佑美子該当なし
衛藤美彩該当なし
柏幸奈他の星から
川後陽菜Against
川村真洋該当なし
齋藤飛鳥扇風機 → Sing Out!
斉藤優里13日の金曜日
斎藤ちはる:該当なし
桜井玲香該当なし
白石麻衣:(魚たちのLOVE SONGシンクロニシティ → 僕のこと、知ってる? → しあわせの保護色
高山一実該当なし
中田花奈該当なし
中元日芽香嫉妬の権利 → アンダー
永島聖羅該当なし
西野七瀬気づいたら片想い → 無口なライオン → 今、話したい誰かがいる
能條愛未ワタボコリ
樋口日奈該当なし
橋本奈々未該当なし
深川麻衣きっかけ
星野みなみ:制服を脱いでサヨナラを…
松村沙友理:(吐息のメソッド) 悲しみの忘れ方 → 曖昧 → さ~ゆ~Ready?
大和里菜該当なし
吉本彩華該当なし
若月佑美該当なし
和田まあや泥だらけ
畠中清羅:つづく
伊藤寧々:該当なし
山本穂乃香:該当なし
宮澤成良:該当なし

  2期生
伊藤かりん該当なし
伊藤純奈該当なし
北野日奈子日常
相楽伊織君が扇いでくれた
佐々木琴子アナスターシャ
鈴木絢音該当なし
新内眞衣羽根の記憶 → 明日がある理由
寺田蘭世ボーダー → ブランコ → 錆びたコンパス
西川七海該当なし
堀未央奈僕は僕を好きになる
山崎伶奈ゆっくりと咲く花
渡辺みり愛風船は生きている
米徳京花該当なし
矢田里沙子:該当なし

  3期生
伊藤理々杏自分じゃない感じ
岩本蓮加該当なし
梅澤美波該当なし
大園桃子全部 夢のまま
久保史緒里サヨナラ Stay with me毎日がBrand new day
佐藤楓~Do my best~じゃ意味はない
中村麗乃三角の空き地
向井葉月:逃げ水
山下美月夜明けまで強がらなくてもいい
吉田綾乃クリスティー該当なし
与田祐希空気感
阪口珠美:該当なし

  4期生
遠藤さくら該当なし
田村真佑該当なし
賀喜遥香I see… → 君に叱られた
掛橋沙耶香該当なし
金川紗耶ごめんねFingers crossed
北川悠理空扉
柴田柚菜:該当なし
清宮レイ:該当なし
筒井あやめ:君の名は希望
早川聖来:該当なし
矢久保美緒:該当なし
黒見明香:該当なし
佐藤璃果:該当なし
林瑠奈:他人のそら似
松尾美佑:該当なし
弓木奈於:該当なし

 

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