AKB48 内山奈月 評判記

AKB48

内山奈月(C)デイリースポーツ

「ケンポウ・アイドル」

内山奈月、平成7年生、AKB48の第十四期生。
岡田奈々、小嶋真子、西野未姫の存在感の大きさに負け、ほとんど脚光を浴びていない。唯一、話題になったのが「憲法暗唱」なる特技で、現役時代に「憲法」に類した書籍の出版も叶えている。
若者をリードする存在として「アイドル」がある以上、アイドルが「憲法」を語ることになんら弊害はないはずだが、ファンの関心を強く誘うことは最後までなかったようである。その点でいくつか内山は、憲法云々の主張とは別に、今日のアイドルを語るうえで興味深い話題を落としていると云えるだろう。
内山の失敗を挙げれば、柏木由紀に誰よりもアイドルらしいアイドルだと評されたとおり、笑顔をふりまく、王道のアイドルを演じるも、それが王道であるだけに、アイドルと憲法という関係にほかの誰よりも違和感を覚え、またそれを言葉にしてファンに釈明してしまうという、自覚の強さに尽きるだろう。たとえば恋愛小説のなかで政治を語ることは愚劣でしかないが、その種の愚劣さが自己の演じ作るアイドルの内に生じているのを自覚しているように見える内山の姿は、むしろ憲法にかかわる話柄以上に、ファンを現実に引き戻したようである。政治を語る行為が、現実の一切の問題を忘れたいと切望するファンの無関心を買ったのではない。ファンは、ただただアイドルが作り出す世界、政治であろうがファンタジーであろうが、その物語の世界に没入したいだけなのだ。
卒業にあわせるように、「マジすか学園5」において内山奈月演じる「ケンポウ」が、闘争の場から逃げ出し、ドラマの世界からそのまま永遠に姿を消すというシーンが描かれた。内山が現実とフィクションを混合し、それに敗れたアイドルだというイメージを説得力のあるものにしている。

 

総合評価 49点

辛うじてアイドルになっている人物

(評価内訳)

ビジュアル 8点 ライブ表現 9点

演劇表現 11点 バラエティ 12点

情動感染 9点

AKB48 活動期間 2012年~2016年