AKB48 岡田奈々 評価

岡田奈々(C)okada7_akb48_stu48/instagram

「昨日までの限界に今日を書き足し」

並外れた”覚悟”の持ち主である。強いが故に生き残ってしまう。岡田奈々は現代アイドルとしてひとつの完成形、成功モデルとよべる水準に到達した人物と云える。現代アイドルの矜持と良心を担う者であり、アイドルたちが次から次へと晒す、どうしようもない、救う価値もない醜態に救いの手を差し伸べ、共感と友情を示すことのできる心をもっている。そして、その真の共感や友情を示した対象でさえも、必要ならば躊躇なく斬り捨てる覚悟をみせる。将来を嘱望された仲間、ライバルたちが朝露のように消え去っていく光景を直視しなければならない世界で、日々新しい才能が誕生する世界で、自身は「昨日までの限界に今日を書き足し」ながら(*1)、最前線を維持しながら、倒れた才能と新しい才能、双方に変わらぬ笑顔をみせる。小嶋真子の挫折、西野未姫、早坂つむぎの喪失など、上辺だけで切り抜けられない事象を体験した者だけが持てる覚悟を示す。その覚悟はドラマツルギーの「徹底」として、アイドルを演りきることを成功させる。

彼女のアイデンティティーの明快さは、生田絵梨花を彷彿とさせる。ストイックという観点(イメージ)では岡田奈々が生田を凌ぐかもしれない。真面目キャラ、というのはやや陳腐で過剰なフィクションであったが、彼女の自我を確立させるのに役立ったようである。あるいは、彼女の資質がそれすらも利用することを可能としたのかもしれない。岡田奈々の強さとは、同士を逃がすために孤軍奮闘をした服部武雄のような「孤独感」である。平時でも、独り、甲冑を身にまとい、戦を心構えている。そのような心構えが仲間に理解されない点、無理解に囲繞される姿が生田に似ている。新選組で一二を争う剣の腕の持ち主であった服部武雄は、最期の夜も、独り、鎖帷子を身に着け闘ったと云う。頼もしさと孤立感、道半ばで倒れた同士への介錯、喪失との向きあい方、慇懃謙遜な言動が忠誠心をかき立て、観者を、ライバルを心服させる。

小嶋真子を取り巻く全体主義的な期待感に対するアンチ・テーゼとして岡田奈々が機能したことは、その境遇は、幸運と云えるだろう。岡田奈々自身「三銃士」という”希望”の一員であり、同世代のアイドルたちと比較してもきわめて恵まれた境遇であったが、小嶋真子という圧倒的な存在の前にあっては岡田奈々ですら”不遇”と映ったのである。このレ・ミゼラブル的な、あるいはオリバー・ツイスト的な”不遇評点”を彼女が獲得した事実は看過できない。なんと言っても、アイドルファンは”不遇”という物語に弱いのだ。デビュー直後に幸運な境遇に置かれながらも”不遇”なアイドルとして扱われた幸運こそ、岡田がトップアイドルに必要不可欠な”強運”の持ち主である証になるだろう。

一作で良い、時代を変えたいのならば、その才能、資質に見合う楽曲を彼女にプレゼントするべきだ。

 

総合評価 77点

アイドルとして豊穣な物語を提供できる人物

(評価内訳)

ビジュアル 17点 ライブ表現 16点

演劇表現 15点 バラエティ 14点

情動感染 15点

AKB48 活動期間 2012年~

引用:見出し,(*1)時代は変わる Pt. 1 / THA BLUE HERB

評価点数の見方

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