AKB48 片山陽加 評判記
「ビジュアルは個性的だが…」
片山陽加、平成2年生、AKB48の第三期生。
噂に違わず、雰囲気の濃く出たビジュアルをそなえている。その「雰囲気」は、芸界における様々なジャンルに挑戦することで自分の夢を探し当てようとする勇敢な姿勢に裏付けられるが、反面、そうした旺盛さが肝心の「アイドル」に紐付けられていなかった点に、この人の弱点を見るべきだろうか。
同期の柏木由紀と絆につかれたエピソードを豊富にもっている。片山の卒業公演では、兼任先のユニフォームを着たまま歌い踊り花を添える柏木の姿があった。その柏木由紀と比較して見ても、歌にしても、ダンスにしても、また演技にしても、どれも過不足ないのだが、しかし心にまったく響かないのはなぜだろう。こうした感慨は、かなり月並みではあるのだが。片山の踊りは、どれだけ眺めても心を揺さぶってこないのだから仕方ない。
歌やダンスの巧さを、歌やダンスの魅力にかえることができなければ、やはりアイドルは大成しない。たとえば、売れるアイドルとはこれこれこういう人物だ、と語りたいのならば柏木由紀の名が格好だろうし、売れないアイドルを挙げるならば片山を語ればいい。歌やダンスに魅力があればそのアイドルは例外なく売れるのだということを、アイドル中毒になる柏木由紀の横顔から学ぶし、言わずもがな、片山はその逆である。
ジャンルとしての「アイドル」を突き詰める必要がある、と言うよりも、アイドルのことを考え、アイドルにかかわることで発見する自分というものを底流にして、ステージ上で歌い踊らなければならない。そこに作詞家・秋元康から差し出された詩情への個人的な反応があれば、なおのこと良い。片山陽加にはそれらが欠けていた。
総合評価 50点
問題なくアイドルと呼べる人物
(評価内訳)
ビジュアル 12点 ライブ表現 11点
演劇表現 12点 バラエティ 8点
情動感染 7点
活動期間 2006年~2014年