SKE48 Darkness 評価

Darkness ミュージックビデオ/SKE48

「Darkness」

歌詞、楽曲、ミュージックビデオ、ライブについて、

課された詩情が減衰しない眩暈を生み、途方もなく過剰に広げられ提示された世界=宇宙(そら)に降る流星をよすがにして、「僕」は闇の底で蹲る。

ぎこちなく揺れる松井珠理奈、彼女がシーンに抱え込んだ美の透徹が胎動する闘争を辛うじて押さえ込み、透明で針のように光を吸収する結晶の煌めきを描いている。必然性の無い交錯と連なりに悶える木﨑ゆりあは、あたらしい物語のあたらしい主人公を想わせる。舞台装置の上に絶妙なキレのある緊張感が漂うのは桑原みずきが背後から鋭く眼を光らせているから。矢神久美の「ダンス」はやはり演劇だ、すでに、絶望を飲み込んでいる。マテリアルで芝居じみた竹内舞の弾力のある手触りは立体音響として機能する。踊ることによって自身の美と存在理由が増幅されて行く木下有希子、しかし、反動が忘却されてしまったようだ。序章の最後にゆっくりと登場し、前を歩む6人のアイドルと邂逅をする石田安奈に物語の脈絡を何故か感じない。右手に暗闇を、左手に愛を握りしめ「幻想という響き」に逆らうようにアイドルたちのアイデンティティが真っ直ぐに進む。愛と闇が交錯するとき”奇跡が闇を裂く”、「僕」は光の果てを想う。その闇の収斂が7人のアイドルをそれぞれ何処に運んでいったのか。乃木坂46「他の星から」の7人は彼女たちが闇の中で遊離させたアイドルの輪廻だと妄執する。

「Darkness」はグループアイドルにとってのバイブルであり、SKE48のみならず、あらゆるグループで楽曲に示された物語の再現を試み、表現の通過を体験する必要性を把持する。ダンスと演劇のすり替え、あるいは塗り替えは平成年間が終わろうとする現在(いま)でもシーンの本質に留まっている。命題。次世代を生きるアイドルは、個々に、アイドルという神秘の暗闇を描いた「Darkness」の詩に接触し、各々、解釈を抱かなければならない。自身(アイドル)が「僕(ファン)」の幻想でしかないという自覚に辿り着かなければならない。愛を、闇を、演じなければならない。不鮮明な虚構の暗さ、その領域に踏み込むのはアイドルだけではないという事実への覚悟。ファンの、アイドルに対する妄執。しかしそれを儚い嘆きにして映す闇の明るさ。アイドルに献身する人間、「僕」が闇の深さと重なったまま倒れても、手を差し伸べてはいけない。倒れた人間の献身を無駄にしないためにも、光のある場所へ向き直り、奇跡との遭遇に歓喜し続けなければならない。そのような演技を経ることによって”はじめて”、フィクティブな批評空間がトレーに載せて差し出され「アイドル」が立ち現れる。

 

総合評価 92点

アイドル史に銘記されるべき作品

(評価内訳)

楽曲 19点 歌詞 20点

ボーカル 17点 ライブ・映像 17点

情動感染 19点

歌唱メンバー:石田安奈、木﨑ゆりあ、木下有希子、桑原みずき、竹内舞、松井珠理奈矢神久美

作詞:秋元康 作曲:KENGO 編曲:KENGO

評価点数の見方

SKE48, 楽曲