乃木坂46 Wilderness world 評判記

のぎざか, 楽曲

(C)Wilderness worldミュージックビデオ

「荒野」

楽曲、ミュージックビデオについて、

オンラインゲーム『荒野行動』コラボソング。センターで踊るのは齋藤飛鳥。
最後の1人になるまで闘い続けるバトルロワイヤルゲームとのコラボソングということでグループアイドルの順位闘争の直喩として見ればそれなりにおもしろいとは感じるものの、楽曲そのものについてもあからさまにゲームを意識した作りになっており、商品としての価値だけを考えた、アイドルの姿を克明に映しはしない、つまらないものになっている。それは映像作品にも同様のことが云え、かつ、今映像作品は『Route 246』の世界観とあまりにも酷似しており(2つの楽曲に響き合う点は見出だせない)、さらには『I see…』のアイデアもそのまま模倣されている。引用ではなく、これは流用であり、しかもその上に安っぽいCG演出が重ねられる……。この映像作家にははたして作り手としての矜持はあるのだろうか、首を傾げたくなる。直近で使用されたアイデアをそのまま用いる、というのは、作家としては避けるべき事態であるし、もし直近の作品そのものを情報として取得していないのであれば取材不足、関心の欠如だと断じる。さらに云えば、もし、なにも情報を持たない、真っ白な状態から作品を仕上げ、結果それがグループの直近の作品、つまりすでになにものかが着手した思想と似通ってしまったのであれば、それは作り手の資質不足と評価するほかない。この映像作品の作り手からは、他者にどうしても譲れないもの、という矜持がまったく伝わってこない。
ダンスシーンの背景に映るサイバーパンクのような世界観はおもしろく感じる。

歌詞について、

語彙の制限、というよりも、このワードを使用してひとつの歌詞を作ってください、と告げられた際に(今作品で云えば「荒野」)、作詞家がどのようにそれに挑むのか、という視点で眺めると面白い発見があるのではないか。テーマがアイドルの「闘争」や「夢」とわかりやすくリンクしているため、すらすらと書けたような印象を受ける。すらすらと書けたときとは、往々にしてその作家のなかで固まりきった形容が頻出する。それは職業作家として、避けることができない、むしろ必要不可欠な習慣であると同時に、その作品に限って云えばあたらしい試みに打って出ていない裏づけにもなってしまう。
たとえば、乃木坂46の表題曲で云えば、『君の名は希望』において「希望」という語彙を使用してからは、『夜明けまで強がらなくてもいい』で再使用されるまで、実に18作品のあいだ、「希望」は制限されていわけだが、これは作詞家がすらすらと書いてしまわぬよう意識的に振る舞った結果と云えるだろう。

 

総合評価 50点

聴く価値がある作品

(評価内訳)

楽曲 12点 歌詞 12点

ボーカル 11点 ライブ・映像 6点

情動感染 9点

歌唱メンバー:生田絵梨花、梅澤美波、山下美月、久保史緒里、齋藤飛鳥、遠藤さくら、大園桃子、堀未央奈、与田祐希、賀喜遥香、秋元真夏、新内眞衣、清宮レイ、田村真佑、星野みなみ、筒井あやめ、岩本蓮加、高山一実、松村沙友理

作詞:秋元康 作曲:youth case 編曲: youth case、城戸紘志

 

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