乃木坂46 インフルエンサー 評判記

「インフルエンサー」
歌詞、楽曲、ミュージックビデオ、ライブパフォーマンスについて、
乃木坂46の17枚目シングル。センターには、白石麻衣と西野七瀬が並ぶ。
踊ることを主題に置いた楽曲という触れ込み通り、楽曲、ミュージックビデオ、ライブパフォーマンス、とアイドルの表情ではなく身振り手振りに観客の意識が向くように作られている。だが、ただそれだけに感じる。難易度の高い振り付けを踊った、ただそれだけの話題に終始する退屈な楽曲におもう(そもそも、ミュージックビデオ制作の直近に振り入れをし撮影に望むといった慣習がある以上、難易度の高いダンス、という触れ込み自体、矛盾した、馬鹿げた話題作りにしかみえない)。楽曲に触れても、踊ることでアイドルそれぞれがなにを語ったのか、まったく見えてこない。アイドルの闘争がどこにも描かれていないし、難易度の高い踊り=困難を乗り越える姿を見せることで成長の共有を降らせるといった現象も今作では起きていないように感じる。つまり、より完成されたものを、すでに完成した段階で提示するというアーティスティックな雰囲気をもつ作風へと舵を切っているのだが、その提示された作品なるものを眺めても情動を揺さぶるような目新しさや抑揚はなく、ただ淡白に感じるのだから、今作『インフルエンサー』は、グループのアイデンティティでもあった演劇を捨て、あたらしい局面に踏み込むも、しかしその試みに失敗した楽曲と捉えるべきだろうか。
「世界から言葉なんか 消えてしまえばいい」、この歌詞が虚しく響くのは、やはり、『ガールズルール』以降、燦然たる輝きを放ってきたグループの群像がついに破綻を迎えてしまった、と機械的に踊るアイドルたちを眺め、心悲しく郷愁に浸るからか。*1
総合評価 38点
人に聴かせる水準に達していない作品
(評価内訳)
楽曲 13点 歌詞 3点
ボーカル 13点 ライブ・映像 6点
情動感染 3点
引用:*1 秋元康 / インフルエンサー
歌唱メンバー:桜井玲香、秋元真夏、堀未央奈、西野七瀬、白石麻衣、齋藤飛鳥、衛藤美彩、新内眞衣、井上小百合、寺田蘭世、北野日奈子、伊藤万理華、星野みなみ、斉藤優里、樋口日奈、中田花奈、若月佑美、高山一実、生駒里奈、生田絵梨花、松村沙友理
作詞:秋元康 作曲:すみだしんや 編曲:APAZZI