日向坂46 ソンナコトナイヨ 評判記

「ソンナコトナイヨ」
ミュージックビデオについて、
日向坂46の4枚目シングル。今作もセンターポジションに小坂菜緒が立つ。
『キュン』や『ドレミソラシド』で披露した笑顔の硬直がもどってきた。『こんなに好きになっちゃっていいの?』で屈託に踏み込み、『青春の馬』ではその屈託の上に笑顔を作り、ファンがアイドルの素顔に触れるためのウソを用意したが、それらすべてを台無しにする、笑顔の硬直がもどってきた。
アイドルの笑顔が引きつり、硬直して見えるのは、リリースラッシュに因るアイドルの疲弊ではなく、作り手の資質不足が原因にある。「安藤隼人」という映像作家の商品は、(作詞家や作曲家がどのような詩的世界を描こうとも)登場人物のすべてが同じ”顔”をしている。その世界は、鑑賞者の季節の記憶には到底なり得ない、ファンの寄す処となっている想い出を毀損する「模倣」で溢れかえっている。アイデアが著しく枯渇しており(そもそも『キュン』の時点ですでにアイデアを欠如していたのだが)、池田一真、伊藤衆人、湯浅弘章等の作品と比較すると、あまりにも貧弱に映る。演者の現在(いま)をまったく写実できていない。そこに提示される仮構は、過去の映像作品でウンザリするほど眺めた光景の焼き増しに過ぎず、シーン全体が安易な自己模倣に陥り、その病弊に作り手自身が囚われていることへのもっとも明確な現れと云えるだろう。
総合評価 37点
人に聴かせる水準に達していない作品
(評価内訳)
楽曲 6点 歌詞 12点
ボーカル 10点 ライブ・映像 3点
情動感染 6点
歌唱メンバー:金村美玖、小坂菜緒、東村芽依、加藤史帆、佐々木久美、濱岸ひより、高本彩花、上村ひなの、高瀬愛奈、宮田愛萌、佐々木美玲、潮紗理菜、渡邉美穂、丹生明里、河田陽菜、松田好花、富田鈴花、齊藤京子
作詞:秋元康 作曲:柳沢英樹 編曲:柳沢英樹