日向坂46 山口陽世 評判記

「幼馴染の彼女”感”」
山口陽世、平成16年生、日向坂46の第三期生。
あだち充・野球漫画の登場人物のようなその出で立ちどおり、生意気で小気味の良い活発な少女というイメージを打ち出している。山口が日向坂に加わったことで、グループの色が一つ、固められたようにも見える。
恋愛感情への発展に間遠さをもつ幼馴染の彼女”感”、気分に嘘をつかない、心に雲のかからない、颯爽とした一面は、たしかに独特な存在感を放つが、そうした幼さが、表現において足を掴んでもいる。ダンスは、問題なく踊れている。音楽に躍動していて、センスを見る。けれども肝心の表情が、耐え難く滑稽である。我を忘れている、と言うか。今、自分がどのような顔貌をしているのか、意識を傾けることができていない。音楽の世界観と表現の合致という話題以前の問題で、健気で、一生懸命なのは痛いほどわかるが、たとえば学生の合唱コンクールを眺めているような心地になる、そんな表情を山口は多くの場面で披露し、作品に傷をつけている。要するに、演劇的な志向をもって鏡の前に立つ時間が不足している、ということだろう。ただ我武者羅に、ひたむきに踊ればいいのではない。「アイドル」を作品に、芸術に変える意識を育まなければ、美しさなど宿るはずもない。たとえば渡邉美穂も同様の問題を抱えていたが、舞台やテレビドラマなどの経験を糧に、ダンスにおける演技という課題を見事にクリアしているから、山口もこうした欠点を克服する瞬間を期待するばかりである。
総合評価 54点
問題なくアイドルと呼べる人物
(評価内訳)
ビジュアル 12点 ライブ表現 10点
演劇表現 8点 バラエティ 12点
情動感染 12点
坂道研修生 活動期間 2018年~2020年
日向坂46 活動期間 2020年~