日向坂46 竹内希来里 評判記

日向坂46(けやき坂46)

竹内希来里(C)Billboard JAPAN

「自己の可能性の高さに苛まれる」

竹内希来里、平成18年生、日向坂46の第四期生。
デビュー当時の、青春の衝動と軌を一にした、アドレナリンに満ちたアイドルはどこに行ってしまったのだろうか。可能性とは、一度見いだされてしまえば取り消しの効かないものだが、それだけに竹内は自己の可能性の高さに苛まれ続けている。正源司陽子、藤嶌果歩に次ぐ逸材――とりわけ作り手の想像力を刺戟する、自己の想像力の中でこのアイドルを語ってみたいと思わせる、秀でた存在――であったはずだが、現在見るも無残な不調にある。3年もあれば、楽曲のセンターポジションに立たなくとも、その人の代名詞とも言うべき楽曲をどのアイドルでも備え持つものだが、竹内は未だ音楽をもって自分を語るという経験に欠けたままである。この、「音楽」をアイドルを知るための動機にできない点は、今日的なアイドル像を強く示す少女だと云えるかもしれない。
復調の兆しがあるとすれば、たとえばそれは、現在グループの多くのファンのあいだで広く囁かれているような、アイドルの表面的な美貌の進退にかかるのではなく、むしろ、音楽の場面にしめされるべきアイドルの背景を一切もたないという竹内の弱点が逆説的にもたらす、ある種、ファンとの親密性になるだろう。
音楽を、また秋元康の言葉を頼りにアイドルの魅力を知ろうとすることに慣れてしまったシーンと対比して、音楽を拠り所にしない、あるいは、音楽を拠り所にできない竹内は、その個性へと想到するために労苦のかかるアイドル、ファンの個々の想像に大きな余地を残したアイドル、独立した手段を用いてアイドルの魅力に至った際に手放すことのできない歓喜を得る、可能性を秘めたアイドルだと、見なせるということだが、かような「可能性」をなぜこうも尽きずに見いだしてしまうのか。むしろこの点にこそ、竹内希来里の魅力があるのではないか。

 

総合評価 61点

アイドルとして活力を与える人物

(評価内訳)

ビジュアル 14点 ライブ表現 9点

演劇表現 12点 バラエティ 12点

情動感染 14点

日向坂46 活動期間 2022年~