日向坂46 清水理央 評判記

日向坂46(けやき坂46)

清水理央(C)音楽ナタリー

「バイバイ、エンジェル」

清水理央、平成17年生、日向坂46の第四期生。
過去に恋人がいたことをファンに向けカミングアウトしたその一連のエピソードを見てわかるとおり、「イマドキの女子」の価値観を――ある種の本音の軽さのようなものを――、アイドルを通じて図らずも体現している。
純潔ではないが、誠実ではある。なんとしてでも売れてやろうという心意気の強さがもたらすのか、発想のかぎりを尽くして、場面場面で、細心の注意を払い、大衆が理想とするアイドル像を裏切らぬよう務めるその姿勢は、ひときわ誠実的である。それは踊りを見ればより明らかである。チアダンス経験者という事情もあいまって、笑顔の造作に傾倒した、技巧にたのんだ躍動感ある踊りを、一貫して披露している。
欠点は、多い。用いる言葉にしても、笑顔にしても、ありふれた、使い古された表現のオンパレードで、総じて音楽における喚起力の乏しさを裏付ける。とりわけ、自然体でいることを断念したかに見える点が、類型的である。けれど、そのあまりにも類型的である姿が、なにがしかの希望を投げていることも確かだ。
アイドルを演じるにあたり、自然体でいることを許された少女、まるでヒナギクのように純潔な少女、天意に恵まれたとしか思えない少女、グループの主役はその少女一人と決まっている状況のなかで、自己を捻じ曲げた幻想をつくることがアイドルを作ることになるという前提に立った人物がどのように大成するのか、こうした関心は、その対象が平凡な人物に絞られるだけに、応えられるケースは希有だが、清水は、たとえば乃木坂46の池田瑛紗と並び、そうした関心に応えるだけのなにかを、可能性のごときを秘めているように感じる。それはやはり、アイドルという狭いジャンルのなかでアイドルを考え作ることの誠実さにかもし出されているのだとおもう。

 

総合評価 57点

問題なくアイドルと呼べる人物

(評価内訳)

ビジュアル 12点 ライブ表現 12点

演劇表現 13点 バラエティ 10点

情動感染 10点

日向坂46 活動期間 2022年~