AKB48 武藤十夢 評判記

「アン・シュヴァリエ・パルフェ」
武藤十夢、平成6年生、AKB48の第十二期生。
深窓の令嬢としての存在感と、同性が恋に胸を焦がす騎士のような面持ちを兼ね備えた、なんとも見栄えの良いアイドルである。その風格どおり、生まれ持った境遇にきわめて恵まれた人物であり、選挙イベントなど、順位闘争の場においては特権的な強さを誇ってきた。けれど武藤が並ではないのは、そうした「特権」に甘えることなく、アイドルをとおしてその境涯を高めてきた点にあるだろう。とりわけ、軸のしっかりとした、安定した、なおかつ豪快でもある彼女の踊りは、ぽっと出の若手アイドルでは表現し得ない、心身の洗練されたものである。
その意味では、たとえば武藤十夢と同年にアイドルとしてのデビューを飾った乃木坂46の面々が、武藤とおなじくリセエンヌのイメージをもち、その後もイメージどおり「フランスの女学生」を演じているのに対し、武藤はそうしたイメージから徐々に離れて行き、ある種、アイドルとしての精悍さ、表現の凛々しさを鍛え上げてきたという点において、AKB48がどのようなグループで、乃木坂46のブレイクを前にしてどのような岐路に立たされてきたのかを、そのキャリア、成長をもって証していると云えるかもしれない。
総合評価 63点
アイドルとして活力を与える人物
(評価内訳)
ビジュアル 14点 ライブ表現 14点
演劇表現 11点 バラエティ 12点
情動感染 12点
AKB48 活動期間 2011年~2023年