AKB48 入山杏奈 評判記

AKB48

入山杏奈(C)音楽ナタリー

「メリークリスマス」

入山杏奈、平成7年生、AKB48の第十期生。
アイドルとして、またそれ以上に、人として、大きな成長を記している。
デビュー当時は、美術館に飾られる彫刻のような、その彫りの深いルックスとは裏腹の、カメラを前にすると、多くの人間に囲まれると、うつむき、黙り込む、言葉どおりメランコリックな一面と、ファンの心を無邪気にくすぐる言葉を吐く、ウィットに富んだ少女という一面のかいま見る、精悍であり無垢な少女だった。2018年以降、活動の舞台をメキシコに移してからは、外国語を流暢に話し、大自然の中を走り、泳ぎまわる、活発なアイドル、異国の地で様々な人間と交錯することによって、様々な人間感情を獲得する、行動力の高い意欲的な人物を描き出している。
こうした「成長」を、たとえばアイドルとしての立場――現役生であるか、卒業生であるのかを不分明にしてしまうほどの「成長」を支えているものの一つに、アイドルと自己に垣根をもたないという姿勢があることは、まず間違いないだろう。アイドルである自分と、そうではない自分に明晰であるから、アイドルと自己のあいだに引かれる垣根を飛び越えることが可能になるのである。かような心理的径庭を入山に作らせたきっかけに――これはこじつけに見えるかもしれないが――「全国握手会傷害事件」があることもまた、確かなようである。事件以前、インタビューなどで繰り返し、アイドルになったことの実感が持てないと語ってもいたが、事件を境に、自分はアイドルである、つまりほかの誰かにとって特別な存在であるという意識を、否が応でも育むことになったのではないか。

 

総合評価 63点

アイドルとして活力を与える人物

(評価内訳)

ビジュアル 14点 ライブ表現 10点

演劇表現 12点 バラエティ 14点

情動感染 13点

AKB48 活動期間 2010年~2022年