AKB48 後藤萌咲 評判記

AKB48

後藤萌咲(C)モデルプレス

「闘争心を掻き立てる」

「だれだって自分が自分の友だちさ」と媚びるような笑顔を見せて、フェイギンが答えた。「どこに行ったって、自分くらいいい友だちはないからね」
「時によってはそうでないこともあるぜ」といかにも世なれた大人を気どって、モリス・ボルターが答えた。「自分がいちばんの敵だという人間もあるからね」
「そんなこと考えちゃいかん」とフェイギンは云った。「自分が自分の敵になるのは、ただ自分と友だちになりすぎるからであって、自分以外の人間に気を使うからじゃないさ。なんの、なんの、そんなこと、道理としてありゃしないよ」

ディケンズ/オリバー・ツイスト(訳 中村能三)

後藤萌咲、平成13年生、AKB48のドラフト第一期生。
第1回AKB48グループ・ドラフト会議にて大島優子率いるチームKから一巡指名を受け、大きな期待感のなかでデビューを飾っている。一見するとクールな少女だが、突出した闘争心をもっている。序列闘争の場で見せる、後藤の若さに逸った利己的な行動は、一種のフレネミーとなって、時々刻々で話題にされてきた。利他的に演じ振る舞うことが結果的に自己の利益になると固く信じる昨今の少女たちと異なり、後藤は日常においても、また音楽においても、なにものにも忍従しないという、個性の溌剌したスタイルを示している。
その点で、人が生きるうえで否応なく直面する、他者と競い銭金を稼がなければならないという順位闘争の逃れがたさと、その孤独感をアイドルとして最大限に体現した人物と呼べるだろう。勘違いしてはならないが、後藤萌咲の闘争心とは、ライバルたちと対峙することで育まれたのではなく、だれかと競い、克つことが夢に結ばれるのだという認識、つまり孤独感のなかで、自己と徹底的に向き合い、掻き立てられたものなのだ。

 

総合評価 72点

アイドルとして豊穣な物語を提供できる人物

(評価内訳)

ビジュアル 15点 ライブ表現 14点

演劇表現 13点 バラエティ 15点

情動感染 15点

AKB48 活動期間 2014年~2019年