STU48 小島愛子評判記

「日常のひかり」

小島愛子、平成9年生、STU48の第二期生。
尾崎世里花と並び、2期の最年長者。オーディション当時、ファンの視線を最も集めたメンバーであり、鳴り物入りでSTUの門をくぐっている。その特徴は、これまでの自分とはまったく別の「自分」が作られていくという実感に支えられアイドルを育む時間のなかで、その相対として、人としてすでにある程度の成熟を迎えた「アイドルではない自分」というものを、つまり一般生活者としての日常を、ファンが漠然と思い描く憧れの未来の光景として差し出す、ファンサービスにある。たとえば、髪を結んだ恋人がキッチンに立ち、歌を口ずさみながら料理をしたり食器を洗ったりする光景ほど、日常的であり、またロマンチックなシーンはないが、そうした、日常のひかりをファンにあてる点に、小島愛子の魅力がある。ファンが恋い焦がれる未来＝自身の人生の物語のつづきとして期待しているものをアイドルが提示するわけだから、その情動は破格と言えるだろう。
なによりも、そうした日常、ある種、人生の最終到達点のような日常の香気を求めるのは、ファンだけでなく、アイドルを演じる少女たちもまた変わらないであろう点に、興趣をそそられる。ファンサービスとして提示したその風景こそ、小島自身、つまりアイドル自身が、やがて求めてやまなくなるものだという点は、まさしく現在のSTU48の混迷を撃っているし、もはやグループの枠を抜け出てアイドルシーンを包括する話題に思う。

総合評価　63点

アイドルとして活力を与える人物

（評価内訳）

ビジュアル　11点　ライブ表現　14点

演劇表現　10点　バラエティ　13点

情動感染　15点

STU48　活動期間　2019年～