STU48 原田清花 評判記
「ソリッド・アイドル」
原田清花、平成13年生、STU48の第二期生。
デビュー当時は、これまでのSTU48のメンバーとは趣の異なった美しさをそなえた少女だとしてグループのファンに高く注目された。穏やかで、脆弱で、氷で作られた彫刻のような儚さを微笑みに浮かべる、美という観点で語り口の多い少女であったように思われる。「あった」と書いたのは、現在の原田清花を眺めるに、その種のうつくしさは弱さの克服と同時にかたちを変えたように見えるからだ。あれだけの美貌があれば、すくなからず自分がなんらかの主役を負っていることを自覚して育ったはずだが、そうした若者特有のプライドは、STUに加入したことで、容赦なくへし折られたようである。原田に感心するのは、それでもなお立ち上がってきた、STU48の舞台から逃げ出すことなくアイドルを演じ続けているという点だろう。STUという環境・境遇に鍛えられた現在の原田清花は、力を蓄えた、笑顔の逞しい、かなり雰囲気の独特な、ソリッドなアイドルを完成させている。
自己否定をアイドルを演じることの支えにする少女を今日のシーンに数多く目撃するのは、そうした少女を魅力的に感じてしまう、共感してしまうという同時代人の感情ゆえのことであるが、そうした弱さが、しかし魅力となってアイドルの背中を押してはくれないという事態に少女が直面した際に、どのような嘆き、どのような成長が描かれるのかという観点を、原田清花の美は与えてくれている。インタビューなどを読むに、スキゾフレニックになることがアイドルを演じる意味だという理解に達した少女であったようだが、そのとおり現在の彼女には儚さにプラスある種のタフさが裏返されているという、奇妙な魅力が備えられている。その代償ということなのだろうか、音楽作品において、どこか音楽に対して厚顔無恥に徹しているように見える場面が多々ある。
総合評価 50点
問題なくアイドルと呼べる人物
（評価内訳）
ビジュアル 14点 ライブ表現 8点
演劇表現 9点 バラエティ 10点
情動感染 9点
STU48 活動期間 2019年～
