乃木坂46 心のモノローグ 評価

「引き止めて欲しかったのに」
楽曲について、
白石麻衣・西野七瀬のユニット曲。この二人の名前が並んだというだけで、楽曲に対する期待感と期待値はどちらも必然的に高いものになったが、その「期待」が満たされる楽曲の提供は叶わなかったようだ。どのような歌詞、映像作品を用意しても、どのような表現行為を試みても、結局、豊穣な物語を抱える二人のトップアイドル、その横顔に結び付けられてしまう。もちろん、そのようなファンの反応は、あらかじめ予想できる範疇の光景であったはずだが。ひと度交錯したら、その後は、再び出遭うことはないだろう、と想像させるユニットの楽曲を、一作のみ、その一度きりの機会で成功させるのは、やはり至難の業なのか。
歌詞について、
結果的に、そこに提示した詩的世界が不吉な予感として描かれたものだった、と捉えることが可能な内容になっている。しかし、仮にほんとうにそれが狙いにあったのだとしても、選択された言葉、使用されている表現の多くがあまりにも安易であり、アイドルの卒業をテーマとして扱った際に付随すべき描写はどこにも見当たらない。
映像作品について、
簡明直截なストーリーを描き、ファンの既知の想像力に委ねることで、奥行きやメタファーを付与した”つもり”になっている。一言で云えば、感覚のズレがある。センスがない。しかし、西野七瀬がカメラの前で動きはじめると、白石麻衣のアイデンティティでもある「美」を上回ってしまうという宿命的な現象を再確認できる点は良い。要は演者に救われている、ということだ。
総合評価 42点
何とか歌になっている作品
(評価内訳)
楽曲 5点 歌詞 6点
ボーカル 9点 ライブ・映像 12点
情動感染 10点
作詞:秋元康 作曲:シライシ紗トリ 編曲:シライシ紗トリ