乃木坂46 吐息のメソッド 評判記

「悲しみの忘れ方」
楽曲、歌詞について、
8枚目シングル『気づいたら片想い』のカップリング曲。センターは西野七瀬。
恋愛、とくに失恋の際の悲しみを忘れるための方法を、新しい自分の作り方として、情感豊かに歌っている。恋愛の経験はかならず季節の記憶になる。悲しみは過去になる。新しい自分、生まれ変わった自分、これは昨日とはまったく別の自分、ではなく、過去の積み重ねによってできている、とうたっている。
「悲しみの忘れ方 Documentary of 乃木坂46」において、またその映画の主題歌である『悲しみの忘れ方』において、松村沙友理の孤独に強く踏み込んだが、その際に、彼女の”現実的”な恋愛事情への慰め、夢を見続けるための応援歌として、作詞家・秋元康から大胆に差し出されたメッセージが今作『吐息のメソッド』である。過去を悔やみ、膝を抱え独り座り込む少女を前に、作詞家自身、過去に戻った、ということなのだろうか。
松村沙友理というアイドルの視点をもってグループの物語を辿るならば、今作品にはなかなかの感傷、悲喜劇があり、魅力的に映る。
アイドルに語りかけるとき、あたらしく詩情を作るのではなく、すでに書かれた詩的世界にいざなった。これは如何にも秋元康らしい行動である。アイドルとのこうした関わり方によって、作詞家の内でアイドルの物語化がすすむのだろう。
総合評価 59点
聴く価値がある作品
(評価内訳)
楽曲 12点 歌詞 12点
ボーカル 10点 ライブ・映像 12点
情動感染 13点
歌唱メンバー:秋元真夏、生田絵梨花、生駒里奈、伊藤万理華、井上小百合、川村真洋、北野日奈子、齋藤飛鳥、桜井玲香、白石麻衣、高山一実、西野七瀬、橋本奈々未、樋口日奈、深川麻衣、星野みなみ、堀未央奈、松村沙友理、若月佑美、和田まあや
作詞:秋元康 作曲:田中明仁 編曲:TATOO