乃木坂46 空気感 評判記

のぎざか, 楽曲

松村沙友理、橋本奈々未、白石麻衣(C)乃木坂46LLC/ORICON NEWS

「心地いい 関係」

歌詞、楽曲について、

この楽曲に触れ感受するもの、それは日常に溢れでる女性の空虚な孤独感、と云えるだろうか。詩的世界に記された主人公、その純粋無垢な「僕」の独りよがりな目線、描写によって浮かび上がる「彼女」の輪郭をなぞってみると、なかなかおもしろい。都会のワンルームマンションで暮らすようなデオドラントな日常のなかで発見されるであろう、「僕」の素顔=現代日本人の未成熟さつまり幼稚性を巧く表現できているようにおもう。「苦いクレンジングジュースを飲んでたり」、「急にアリアナグランデばかり爆音で聴いたり」する彼女のメタフォリカルな行動を前にして、それを洞察し、恋人がなぜ奇抜に見えるのか、なぜそのような行動を示すのか、というところに意識を傾けるのではなく、「理解できない行動も新鮮で飽きない」、と「僕」は想う。この空気感が良いよね、という感慨に浸り、幸福を想うわけである。
「僕」の振る舞い、あくまでも彼女の行動ではなく自分の行動によって生活が編まれていくのだという「僕」の錯覚が、想像力の欠如に映らない理由は、「空気感」というタイトル・言葉が魔法のような効力を発揮し、その詩的責任から逃れることに成功するからである。この空気感が良いんだ、と言われてしまったら、それに対し現実感覚を持ち込み反論することなど、彼女にはできないだろう。よって「僕」は、一般論的な空想、視点をもとに彼女をどんどん好きになっていく。そこに、彼女の現実的な希望、結婚だったり子供だったり、といった希望が入り込む余地はどこにも残されていない。

こうした観点を持った際に安直なまでに抑えきれず結びつけてしまうもの、楽曲を眺めた際に浮かび上がる縮図こそ、グループアイドルとファンの関係であり、つまり仮想恋愛、その空間である。今作品の歌詞をあらためて読むと「僕」をファンに、「君」をアイドルに置き換えても違和感がないことに気づく。彼女の「日常」の風景とは、握手会で眺めた仕草かもしれないし、ブログに綴られた日々の些細な出来事かもしれない。「僕」はまさしく彼女の日常、その「空気感」に惚れ込むのだ。
そしておそらくは、この構図の帰結するところこそ、「僕」の幼児性にほかならない。つまるところ、常に、移動をしない「僕」を書き続けてきた作詞家・秋元康のアイデンティティが、いよいよアイドルファンの内奥に届いた、数少ない詩情と云えるのではないか。傑作と呼ぶべきかもしれない。

 

総合評価 80点

現代のアイドルシーンを象徴する作品

(評価内訳)

楽曲 15点 歌詞 17点

ボーカル 18点 ライブ・映像 15点

情動感染 15点

引用:「」乃木坂46 空気感

歌唱メンバー:衛藤美彩、白石麻衣、高山一実、橋本奈々未、松村沙友理

作詞 秋元康  作曲 DR QUEENBEE 編曲 DR QUEENBEE 

 

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