乃木坂46 池田瑛紗 評判記
「独創性に溢れた才子」
池田瑛紗、平成14年生、乃木坂46の第五期生。
独創性に溢れた才子として、期待を集めている。アイドルの作り方を過去のアイドルテクストから学ぶ真面目さ、月並みさに裏打ちされる高い規範性が、「アイドル」を考えることでアイドルそのものを作っていく、という混じり気のない行動力に結ばれ、人気を博している。端的に言えば、「アイドル」というジャンルにたいして純粋に向きあう人、ということなのだが、その純粋さ、つまりある特定のジャンルをそのジャンルだけを題材に取ってつきつめていく行為にかもし出されるある種の錯誤が、言うなればアイドルというジャンルの退廃につき進む姿勢が、その陳腐さが、むしろ多くのアイドルファンを虜にする倒錯に、この人の独創性がある。
池田の「アイドル」にたいする純粋さの最たる裏返しこそ、溢れ出るアイデアのサービス精神、であり、あらゆるコンテンツにおいて洪水のごとく自身の感情を文章・情報にかえて、ファンの眼前に差し出している。すでに多くのファンをそのデスペレートの熱誠のなかに閉じ込め、虜にすることを成功している。言葉のもっとも強い部分、言葉が人を衝き動かすことのもっとも強い部分が「本音」であることを、理解し実践することで、個性を獲得している。ゆえに、キラ星のごとく集まった乃木坂の5期のなかにあって、グループアイドルの歴史において最高峰のシュトゥルムであるその少女たちのなかにあって、ライバルに一歩も譲ることなく、一二を争う話題性を持つ。
楽曲のセンターに立った際の存在感にも、余人にはないもの、を見出すことが可能である。歌、ダンス、演技など、たしかに、表現における技術の貧しさは、目に余るものがある。癖のある自身の日常の所作を込めすぎていて、どの作品を演じても似たりよったりのアイドルしか映し出されない。当然、作品そのものもダブって見える。作為的であることが、足を掴んでいる。けれど、楽曲を独自に解釈しようとする意識の高さが、クルックシャンクのように自己流の虚構を作り上げ、アイドルにタフタのヴェールをかけているようにも見える。
いずれにしても、すでに大衆を虜にしていることに変わりはないから、そのスタイルの是非を問う必要もないのかもしれない。あるいはこの点が、このアイドルにとっての、尽きない話題、になるのかもしれないが。
総合評価 62点
アイドルとして活力を与える人物
（評価内訳）
ビジュアル 14点 ライブ表現 9点
演劇表現 8点 バラエティ 16点
情動感染 15点
乃木坂46 活動期間 2022年～
