櫻坂46(欅坂46) 渡邉理佐評判記

「微笑したまま沈黙する」

渡邉理佐、平成10年生、櫻坂46(欅坂46)の第一期生。
グループの中核を担うメンバーの一人。ビジュアル、ライブ表現力、演技力については、文句のつけどころのないアイドルである。デビューから今日に至るまで、多くのアイドルファン、また多くの同業者を、音楽においても、また日常においても魅了しつづけている。演劇と歌唱の融和という、映像作品において作り上げた踊りの世界観をそのままライブステージに落とし込もうとチャレンジする欅坂46にあって、そうした、いかなる場面においてもフィクションへの没入をやめないグループにあっても現実の自分を忘れない、芯の強いアイドルでもある。
たとえば、一貫した西野七瀬への模倣であったり、齋藤飛鳥への模倣であったりが、つまり内向的な少女を演じてみたり、無関心・無感動な人間を演出してみたりすることが、売れるアイドルを作ろうとする作り手への従順さでしかなく、そこにアイドル本人の意志、つまり成長はないという、ある種、ニル・アドミラリなアイドルを彼女が完成させたことそれ自体が言わば『サイレントマジョリティー』における「大人への反抗」を表現している点に、この人の心の強さがある。まさにアイドルの群雄割拠を生き抜く才子と呼ぶべき風格である。大人になりつつある自己と、大人への反抗を歌った過去の自分、またこれからも変わらずその歌を唄わなければならないことの矛盾を、臆することなくインタビュアーに向け語ったり、その穏やかな外見とは裏腹に、かなり度胸のある人に見える。

「木か石みたいだわ！」とミス・ハヴィサムは叫んだ、「なんという冷たい、冷たい心！」
「何でしょう！」とエステラは、大きな炉棚に寄りかかり、眼だけを動かして、無関心な態度をもちつづけて言った、「冷たいからといって私をおとがめですか？あなたが？」
「お前は冷たくないの？」と激しい言葉。
「あなたは御存じの筈です」とエステラは言った、「私はあなたがおつくりあげになったものでございますよ。色々な賞賛をみてごらんなさい、色々な非難を見てごらんなさい、色々な成功を見てごらんなさい、色々な失敗を見てごらんなさい、つまり私を見てごらんなさい。」

大いなる遺産/チャールズ・ディケンズ

総合評価　67点

アイドルとして活力を与える人物

（評価内訳）

ビジュアル　14点　ライブ表現　15点

演劇表現　15点　バラエティ　8点

情動感染　15点

櫻坂46(欅坂46)　活動期間　2015年～