AKB48 郭グレース 評判記
「grace」
郭グレース、平成6年生、AKB48の第八期生。
14歳でデビューし、15歳で卒業する。活動実績は1年に満たない。セレクション審査=内部オーディションにおいて落第の印を押され早々に夢破れた少女の内の一人に数えられるが、劇場には、立てている。その名が示すとおり、感情表現の豊かな、また時には感情の抑制を上手く取れない、内面のみずみずしい少女であったようだ。セレクション審査の結果が出た後に、ファンに別れを告げるために立った最後のステージで、こらえきれず涙を流す彼女の横顔を前にして、当時すでにアイドルの卒業というイベントに馴れきってしまったファンでさえも、その心を大きく揺さぶられたようである。夢に挫折して、アイドル活動の辞退を決断するにしても、多くの少女は、あくまでも前向きな笑顔と言葉を残し、ステージを去っていく。まだアイドルでいたかったのだと、本音をこぼす少女は、少ない。その点において郭グレースは、――ファンの側から見て――きわめて情動の強い人物だと云えるだろう。
grace(グレイス)、これは直訳すると優雅や優美となるだろうか。神の恵み、恩寵、寛容と意訳しても良い。寛容を意味する「グレース」の名を持つ少女が、作り手の不寛容さによって夢の世界から追放されてしまった。少女の夢が潰えて行く光景を目の当たりにすることの、その異様さに、いよいよファンが反動を抑えきれなくなる、という蜂起の胎動を、郭グレースの記録をとおして、その予感に触ることが可能である。
総合評価 48点
辛うじてアイドルになっている人物
(評価内訳)
ビジュアル 13点 ライブ表現 6点
演劇表現 6点 バラエティ 10点
情動感染 13点
AKB48 活動期間 2009年~2009年