AKB48 平嶋夏海 評判記
「青い未来」
平嶋夏海、平成4年生、AKB48の第一期生。
「渡り廊下走り隊」のリーダーであることからも、のちにAKB48を代表するアイドルへと成長した渡辺麻友と深い係わり合いをもっている。平嶋の物語が渡辺麻友の純潔さ=アイドルサイボーグ化を押し進めた、いや、ほとんど決定づけたという意味では、渡辺と共に時代をこえて輝くものがあると云えるかもしれない。
13歳でデビューしたことの避けられない成り行きだろうか、現実の青春とアイドルとしての青春のどちらも謳歌しようとする、それがごく当たり前のことであると捉える少女で、AKBの黎明期を生き抜いた、夢のために青春を犠牲にした他の多くのメンバーとは色の異なったアイドルをつくっている。とりわけ自身の青春をファンと相互共有することに成功したはじめてのアイドルだという点に「平嶋夏海」の魅力があるだろうか。
その彼女が恋愛スキャンダルを起こしたことは、生来の魅力と引き換えにされた宿命だったのかもしれないが、いずれにせよ、グループの立ち上げメンバーであり、なおかつグループの成長がそのまま心身の成長へとリンクした年少メンバーであったことも相まって、ファンは悲しみよりも深い怒りを覚えたようである。
怒りは、不寛容を人に宿す。平嶋はアイドルの世界から驚くほどあっさりと、追放されてしまった。そうした一連の出来事をやや呆れ顔で眺めていたのが渡辺麻友なのだが、恋愛禁止というルールを破ってしまったのだからアイドル活動を辞退するのは仕方のないことだと潔く姿を消した平嶋の後ろ姿を間近で眺めていたからこそ、ルールを破ってもなおのうのうとアイドルを演じている人間がいることが彼女は許せなくなったのだ。
その「憤り」が、渡辺麻友という人のアイドルの演じ方、作り方、生き方を決定的にしたのであれば、やはり平嶋夏海はAKB48の歴史において特別な存在感を把持した登場人物だと云えるだろう。
総合評価 62点
アイドルとして活力を与える人物
(評価内訳)
ビジュアル 13点 ライブ表現 12点
演劇表現 11点 バラエティ 12点
情動感染 14点
AKB48 活動期間 2005年~2012年