STU48 岩田陽菜 評判記
「シンクロニシティ」
岩田陽菜、平成15年生、STU48の第一期生。
西野七瀬を想起させる容貌をたずさえた少女として、デビュー時、注目された。他人のそら似、シンクロニシティ、呼び方は様々にあるが、どれにせよ、グループアイドル的チャームの大きな部分を体現したメンバーである。
作詞家・秋元康をして、24色の魅力がある、と言わしめたとおり、色彩の豊かなアイドルで、スポットライトに照らし出された際には、日常から遠く離れた表情を描き出す。たしかに、踊りの技術は、乏しいものだ。けれど、岩田のダンスには、技巧を凝らすだけのダンスには到達しえないもの、アイドルの内に秘められた生身の感情を吐露するような、大胆さがある。その点においても「西野七瀬」をかいま見るわけだが、西野と比べ特徴的なのは、アイドルを演じるなかで、徐々に、メランコリックへと傾倒していった西野とは対照的に、岩田は、アイドルを演じる時間のなかで、着実に、自己の弱さを克服し、精悍になっている点だろう。たとえば『モニカ、夜明けだ』のミュージックビデオが象徴的だが、岩田はこれまでの、弱々しい、華奢なアイドル・イメージから一歩、抜け出て、たとえば『命は美しい』当時に披露された西野七瀬の儚さ、つまり強さと弱さを同時期にその身内に宿すことを成功している。ある種、西野七瀬の物語、モノグラフを逆走していくという、成長の逆転を印している。なぜそうした逆転が起きているのか、考えるならば、やはりそれは、STU48というグループの特色に裏づけられるのではないだろうか。この人もまた、文句なしに、踊りに生かされた、STUの一員なのだ。
総合評価 66点
アイドルとして活力を与える人物
(評価内訳)
ビジュアル 15点 ライブ表現 14点
演劇表現 12点 バラエティ 12点
情動感染 13点
STU48 活動期間 2017年~
2023/01/05 加筆しました(初出 2020/07/23)