乃木坂46 市來玲奈 評判記
「優等生を演じつづける」
市來玲奈、平成8年生、乃木坂46の第一期生。
乃木坂46に加入する以前の、前日譚、アイドル卒業後の、後日譚、どちらも豪華である。今日では、アナウンサーとしての顔がこの人のもっとも強いイメージだが、アイドルデビュー前に取り組んでいた競技ダンサーとしての経歴にも目をみはるものがある。その両点に比べると、アイドル時代の物語はかなり平坦で、生彩がない。
――学業のため、ほぼ休業状態の時期があったものの――活動期間は約3年間、参加シングルは8作品。物語はけして短くない。生駒里奈、生田絵梨花から毒を抜いたような清潔さ、爽やかなルックスをもった少女で、早くからセンター候補の一人に数えられた。けれど、そのルックスのとおり生真面目をつらぬく少女でもあり、たとえば学生のスピーチのように融通の利かない、予め用意した言葉を機械的に並べ立てる口調をもってファンに話しかけるという悪癖を持っている。端的に言えば、市來玲奈というアイドルには、人として当然そなわっているべきユーモアが欠けていた。それゆえか、逸材であることは多くのファン、多くの同業者の認めるところであったはずだが、市來の卒業の報に向け、悔悟を抱えたり、嘆いたりする人間はほとんど見られなかった。
そうした優等生を演じてまでも夢を叶えようとする姿勢を取らせるものが「万能感」であるという点が、この人の魅力であり、弱点であり、芸能の世界を生き抜くうえでの強みであることは間違いない。
総合評価 53点
問題なくアイドルと呼べる人物
(評価内訳)
ビジュアル 14点 ライブ表現 13点
演劇表現 13点 バラエティ 7点
情動感染 6点
乃木坂46 活動期間 2011年~2014年