最高点を付けたアイドル
・ビジュアル
佐々木琴子 正源司陽子
・ライブ表現
山本彩 平手友梨奈
・演劇表現
生田絵梨花
・バラエティ
指原莉乃
・情動感染
西野七瀬 正源司陽子
評価について
ロバート・M・パーカーの「ボルドー」のパーカーシステムを小説に適用したブックガイド、福田和也・著「作家の値うち」の採点基準方式を模倣し、アイドルを採点します。
点数の基準は以下のようにしました
90点以上 アイドル史に銘記されるべき人物
80点以上 現代のアイドルを象徴する人物
70点以上 豊穣な物語を提供できる人物
60点以上 アイドルとして活力を与える人物
50点以上 問題なくアイドルと呼べる人物
40点以上 辛うじてアイドルになっている人物
39点以下 アイドルの水準に達していない人物
29点以下 推していることは秘密にしたほうが良い人物
評価の内訳は5項目 各20点満点とする
9~11点 全体の38%がこの範囲に収まる
12~13点 良い 全体の18%
14点 トップクラスと評価 全体の5%
15点 その分野で話題になることが多い
16~18点 常に話題の中心に置かれる
19~20点 冠絶と評価する
その作品がだめだと云っても、どの程度だめなのか、「だめ」にもいろいろあるわけです。村上龍ぐらいだめなのか、林真理子ぐらいだめなのかというのはけっこう差がある「だめ」なので、わかりやすくするには点数でつけるしかないだろうということで、それで敢えて点数にすることにしました。(福田和也/作家の値うちの使い方)
ビジュアル
アイドルにとってもっとも重要な資質がビジュアルです。”理由はわからないけど彼女を好きになってしまった”、とにかく”彼女”のことが気になる、これは説明するまでもなく、ビジュアル=アイドルの顔貌・容貌にもたらされる日常の仕草、立ち居振る舞い、つまりそのアイドルの動作によるところがおおきい。安易にルックスの良し悪しをはかるのではなく、ファンの眼に見えるかぎりの美しさ、言い換えれば、内側から滲み出ている隠しきれないニオイとイロ、たとえば、誰々に似ているとか、あるいはその「誰か」の元になるような、系譜そのものを誕生させているか、など、外面の美しさの影響力を読み、評価します。
ライブ表現
アイドルとは、可能性を探る、という命題の上を歩く存在ですから、アイドルの歌唱力、ダンススキルの完成度に向ける期待感はそこまで高くありません。古今東西、宝塚少女歌劇からAKBに至るまで、舞台を眺めるファンがアイドルに求めてきたものは何なのか。まず考えなければならない。それはたとえば、小林一三の、秋元康の書く言葉への対応力・浸透力ではないでしょうか。スキルが拙く、なにもかもが粗雑であったとしても、そのアイドルの内に、これだけは表現したい、これだけは他者に伝えたい、と誓うものがたしかにあり、それが音楽への対応力として現れるならば、それで構わない。もちろん、技術に裏打ちされたダンスを披露するアイドルにも称賛を惜しみません。しかし、完全さよりも輝く不完全な何か、があれば、それをなによりも高く評価します。
演劇表現
主に、舞台・演劇、グラビア、映像作品における表現力を評価する項目ですが、アイドルの性質上、非日常の空間で作られるその演劇の根源には、少女たちがアイドルを演じ過ごした日常の記憶、経験、言わばドラマツルギーの堆積があるはずです。アイドルの演技を前にしてもっとも心を揺さぶられる瞬間とは、往々にして、演劇世界の内に自分の見知ったアイドルが出現するときです。要するに、舞台にしてもミュージックビデオにしても、そこにアイドルが活かされているのか、あるいは、生かされているのか、を問い、アイドルの演技に点数を付けていきます。
バラエティ
アイドルのストーリー性に干渉するのが多様性です。ユーモア、ウィット、エスプリ、つまり用いる言葉の魅力を問うだけではなく、人としての、またはアイドルとしての喜怒哀楽の結構の有無を評価します。哭き、嗤い、叫ぶ。強靭さ、傷つきやすさ、弱さと強さ、つまり感動の大きさを読む。言わば「アイドル」という仮面の下に隠した素顔を、どのようにしてファンに差し出すのか、異なる感情を自己の内に同時期に宿すことをどれだけ可能にしているのか、を読み、評価します。
情動感染
現代のアイドル、つまりグループアイドルを評価する際にどうしても分析的手法のむずかしい場面にぶつかります。歌や演技、ビジュアルの点数では表せないユニークがあるからです。それは何か、と考えたとき、ファンである我々の情動を揺さぶる日常の所作なのだろうと考えました。まず、アイドル自身がアイドルを演じる過程でどのようにして自身の情動を引き起こすのか、そして、その仕草によって、読者であるファンの心をどれだけ揺さぶるのか、どれだけ彼女の情動が感染するのか、この点を読みます。この観点とは、そのアイドルの書く物語が「おもしろい」かどうか、という話題に帰結するのだとおもいます。
評点は、批評家のそのワインに対する総合的な質的位置づけを、読者が理解するために重要であると共に、ワインのスタイル、性格と可能性に関する記述を理解するためにも重要だと私は思います。ただし、どんな評価方法も中世の街サンテミリオンを見渡すレストランで、ジロンド河で獲れた魚を使った、赤ボルドーソース添えのランプロワという地方料理と一緒に出された1本のささやかなボルドーを味わう喜びを充分に伝える事はできません。このような時には極く普通のワインでも素晴らしい、忘れがたいものになるのです。良い評価基準とは、先入観なく公平に行われる時に、単にワインの質のレベルを明確にする事なのです。(ロバート・パーカー/ボルドー)