AKB48 “好き”のたね 評判記

「見せてあげる」
歌詞について、
俯瞰を収斂させるように、「カメラ」の動作を、その活写を無意識に描写してしまう現代人特有の感性が現れており、おもしろいと感じる。しかし、その「カメラ」が掌のアップを映し出し、”たね”の説明に移ると途端に退屈になり、落胆させられる。書き出しとそれ以降の歌詞のクオリティの差が著しく、痛々しい。
映像作品について、
センターの中井りかに付随する、彼女がこれまでに描いてきた様々な表情をきれいに削ぎ落とし、彼女が隠していたあるいは放擲してしまった、アイドルのキュートさがうまく描かれている。『青春時計』を演じた頃と比較すると、笑顔の硬直がすこしだけ和らいだ、と感じる。「なんだかんだ言っても、きちんと成長をみせられるアイドルなんだな」と奇妙な安堵感を抱かせるような表情を映像世界の内に落とし込んでいる。この籠絡へと導く力こそ、アイドル・中井りかが大人たちのこころを鷲掴みにすることに成功した特質なのかもしれない。もちろん、それがアイドルとしての評価に直接つながることはないのだけれど。
総合評価 36点
人に聴かせる水準に達していない作品
(評価内訳)
楽曲 8点 歌詞 6点
ボーカル 6点 ライブ・映像 11点
情動感染 5点
歌唱メンバー:中井りか、福田朱里、中村歩加、吉川七瀬、今村美月、野々垣美希、宮里莉羅、西澤瑠莉奈、堀 詩音、清水麻璃亜、左伴彩佳、仲村和泉、山根涼羽、石田千穂、土路生優里、沖 侑果
作詞 : 秋元 康 作曲 : Linia 編曲 : 若田部 誠