乃木坂46 能條愛未 評判記
「ピエロを演じきれない弱さ」
能條愛未、平成6年生、乃木坂46の第一期生。
未完の大器として期待されたまま、その可能性を何一つ奪回できぬままアイドルの扉を閉じている。デビュー当時は、生田絵梨花をも凌ぐ演技力を備えた本格派として、与田祐希登場以降は、能條によく似たその少女の輝きに転じて、与田ほどではないにしろ能條のビジュアルもまた余人を凌ぐものであったことを裏付けた。
よって能條愛未が売れなかった理由は単純明快である。誰の眼にもはっきりと映るその輝き、演技、ビジュアルこそ自己の演じるアイドルの魅力であると確信することで、内に根ざす本当の才能・魅力に対し、アイドルを卒業するその日まで目を背け続けてしまったことが、この人の敗因だろう。
パワーストーンの力によってゴシップ記者を引き寄せてしまうという、悲喜劇、滑稽さ、生まれ持った性(さが)によく現れているとおり、能條愛未の魅力とは、本来的な役割としてのピエロにあるはずだが、この人が理想としたアイドル像はあくまでも女優・役者の神秘さ、威厳にあった。とくに「女優」という理想に突き進む際に育んだであろう狷介さは並みのものではなかったらしく、たとえば後続の若手アイドルの多くを、後ずさりさせた。画面に映る能條愛未というアイドルのイメージと、同業者から眺めた能條愛未という人のイメージのあいだに広がる距離に、この人の演技に向ける熱誠、職業アイドルとしての弱さがよくあらわれている。
総合評価 59点
問題なくアイドルと呼べる人物
(評価内訳)
ビジュアル 12点 ライブ表現 14点
演劇表現 14点 バラエティ 12点
情動感染 7点
乃木坂46 活動期間 2011年~2018年