NGT48 小熊倫実評判記

「Awesome」

小熊倫実、平成14年生、NGT48の第一期生。
本格派・正統派アイドルとして、デビューから一貫し成長を見込まれてきた。とりわけダンスをもってアイドルを飛翔させる点にこの人の正統性がある。『Awesome』においては、その才能を見事に開花させ素晴らしいパフォーマンスを発揮した。衣装、振り付けへの高い浸透力。笑顔、仕草、佇まいのすべてが自然体であるかのように錯覚させるその表現力には、言葉どおり、目を奪われる。ダンスナンバーをこれほどまでにナチュラルに、スタイリッシュに仕上げてしまえるアイドルは後にも先にも、この小熊倫実だけだろう。
ただ、そうした成長が、いわゆる最年少というポジションから編み出されるイメージとぶつかり、足を掬われてしまったようにも見える。最年少という立場のなかで育まれる責任感、自分だけは道から外れてはならない、ファンの信義を裏切ってはならない、という意志が高い規範性となって紋切り型のアイドルに自ら収まってしまった。「山口真帆暴行被害事件」後は、よりその意志を固め行動していたように見える。実体として、アイドルが確かな成長を記録し大人に近づいているのに、アイドルの心の内にはデビュー当時と変わらない初々しさが根ざしていることで、ファンに言い様のない違和感を与えてしまった。
後にAKB48の救世主とまで呼ばれることになる矢作萌夏の魅力を、同い年でありながらオーディションの段階ですでに見出していた、というエピソードも小熊のアイドル観を端的に教えている。

総合評価　65点

アイドルとして活力を与える人物

（評価内訳）

ビジュアル　14点　ライブ表現　16点

演劇表現　13点　バラエティ　10点

情動感染　12点

NGT48　活動期間　2015年～2022年