AKB48 吉岡沙葵 評判記
「元カフェっ娘」
吉岡沙葵、昭和59年生、AKB48の第四期生。
22歳でデビュー、23歳で活動を辞退。4期の最年長者であり、1期の最年長である宇佐美友紀と同級にあたる。ゆえに、それなりに社会の機微に通じた、青春にある程度の区切りをつけた人物だということになるが、それはカフェっ娘(AKB劇場に併設されたカフェ「48’s Cafe」の売り子)として人気を博した実績からも見て取れる。
カフェの従業員として働きAKBのファンと接する時間のなかで、すでに吉岡はファンのこころを掴むことに成功している。誕生日には、生誕祭が開かれたというのだから、当時のAKBファンの熱量の大きさと同時に、吉岡沙葵という人物の魅力の片鱗、自分ではない何者かを演じる意識の強さをそこに垣間見るわけである。カフェっ娘から正規のアイドルへと成り上がったメンバーと言えば篠田麻里子の名をまず思い浮かべるが、篠田のようなサクセスをファンに期待させるだけのなにかを吉岡は持っていたと、可能性を語り、想像を広げることが可能である。
けれど、そうした期待をよそに吉岡は研究生の立場のまま、わずか6ヶ月でアイドルの物語に幕を閉じている。セレクション審査において落第したと推測される。ちなみに、カフェっ娘からAKB48の正規メンバーへと成り上がったのは、グループの歴史のなかでたったの3人しかいない(篠田麻里子、大堀恵、小原春香の3名)。
セレクション審査を通らなかったということは、ライブパフォーマンスに見過ごせないキズがあった、と見るのが大方だが、言葉、日常の立ち居振る舞いをもってファンを魅了することのできる資質を備えていたであろう人物がその才能を開花させることなくアイドルの世界から姿を消した結末に対しては、なにがしかの名残を感じる一方、しかしそれ以上に名残を見いだすのは、当時のAKBにはアイドルの王道を条件から絶対に外してはならないとする意志があったという点である。やはりアイドルには、ステージの上で美しく歌い踊る使命が課せられているのだ。
総合評価 41点
辛うじてアイドルになっている人物
(評価内訳)
ビジュアル 7点 ライブ表現 6点
演劇表現 6点 バラエティ 12点
情動感染 10点
AKB48 活動期間 2007年~2007年