AKB48 向井地美音 評判記

「AKB48の残酷な写し鏡」
向井地美音、平成10年生、AKB48の第十五期生であり、12代目センター。AKBグループの3代目総監督。
衰弱しきったAKB48の残酷な写し鏡として、ファンに語られることが多い。もちろん勘違いしてはならないが、向井地美音が総監督の座に就いたことでグループがダメになってしまったのではなく、向井地のちからのまったく及ばない場所で、日々、エネルギーを失っていくグループの現況をその身に写し続けたから「写し鏡」なのだ。
アイドルとしては、村山彩希と並びグラビアの一面を飾った当時の、ふくよかな瑞々しいエロスはとっくに枯れ果ててしまっているが、むしろアイドルを演じることにその身をやつしている点、じりじりと、確実と迫る美貌の減退にぎりぎりのところで抗い、笑顔をふりまく底力などは、高く好感を誘うものである。
総監督としては、前任の横山由依の意志を継ぎ、メンバーファーストの姿勢を崩さない。だが、用いる言葉の甘さ、言葉の解釈の未熟さが、むしろメンバーを窮地に追い込む結果につながったりと、頼りない部分が目立つ。いわゆる子役出身者として認知されるが、俳優としてのキャリアよりもアイドルとしてのキャリアのほうが遥かに長い。要するに、アイドルを演じる時間のなかで大人になってしまう少女たちの問題点を、社会経験の未熟さ、言葉の拙さをもって象徴しているという点で、真に代表的なメンバーと言えるかもしれない。
AKB48の惨状のすべてを肩代わりする向井地を前にして、若手アイドルたちは、総監督にはなりたくない、と堂々と公言するようになった。もはや多くの若手にとって「総監督」は憧れのポジションではなくなった。その意味では、AKB48がダメになってしまった本当の理由を、向井地だけは肌で感じ取っているかもしれない。
総合評価 61点
アイドルとして活力を与える人物
(評価内訳)
ビジュアル 11点 ライブ表現 13点
演劇表現 12点 バラエティ 12点
情動感染 13点
AKB48 活動期間 2011年~