AKB48 増山加弥乃評判記

「アナザーストーリーの尽きない人」

増山加弥乃、平成6年生、AKB48の第一期生。
1期の最年少メンバー(デビュー時11歳)。少女らしく、大物タレントと共演した際に、周囲の思惑に動かされない、物怖じしない態度を見せたりと、まだまだ素人でしかない少女が芸能人を前にして対等に立ち居振る舞うその光景は、すくなからず当時のファンを興奮させ期待感に包んだようである。
卒業後、橋本愛と並び舞台挨拶をする彼女の横顔を眺めるに、かなりの逸材であったことがわかる。とはいえそれはあくまでも「卒業後」の話であり、現役時代の、無邪気そのものであった増山を眺め、あの橋本愛に存在感を奪われない人物だと見抜くことが一体だれにできただろうか、という疑問も当然ある。増山加弥乃がアイドルとして大成しなかった理由は、若さゆえに「アイドル」を構成する意思に欠けていたという一点でしかないように思われるが、おもしろいのは、AKBから去ったあとの10年間の彼女の成長を、そのままアイドルとしての成長にすり替えて、橋本愛の横に立つ増山を現役のアイドルに見立て語ることが可能だという点だろう。
卒業後に女優として活動する彼女には、アイドルと女優のあいだに引かれる境界線を吹き払ってしまうような、アイドルとしても女優としても輝き得る、たとえば、新しい廃墟のように、鼓動を止めない存在感がある。加入時期がもう少し遅ければ、あるいは全盛期のAKBでセンターに立っていたかもしれない。

総合評価　70点

アイドルとして豊穣な物語を提供できる人物

（評価内訳）

ビジュアル　14点　ライブ表現　13点

演劇表現　15点　バラエティ　14点

情動感染　14点

AKB48　活動期間　2005年～2007年