AKB48 本間麻衣 評判記

AKB48

本間麻衣(C)youtube AKB公式アカウント

「オーソドックス・アイドル」

村人からみれば熊太郎はごく簡単な、あほでもできることができぬ大たわけであった。
例えばトラック競技をしているとすると、村の人はなにも考えずに走っているのだけれども、自らの思弁を現す言葉を持たぬ熊太郎は、暗黒舞踏を踊りながら走っているようなもので、その内面の事情を知らぬ人から見ればアホにしかみえなかったのである。
そして大抵の場合、他人の内面など分かるはずがないから熊太郎はアホの無能だと思われていたのである。

町田康/告白

本間麻衣、平成14年生、AKB48の第十六期生。
人気、実力ともに乏しいが、16期の中では比較的注目されたメンバーである。その「注目」は、大きくふたつに分けられるだろうか。一つは、アイドルとしてオーソドックスなビジュアルをそなえ持つことの期待感。もうひとつは、デビューから一貫して、足取りのおぼつかない、調子外れな踊りを披露しつづけた点。
アイドルは、最低限、踊れなければ話にならない。踊れないアイドルは、淘汰されてしかるべきだし、そうしたハードルを設けることが、作り手に課された当たり前の使命だろう。本間が度々ファンのあいだで話題にされたのは、踊れないは踊れないが、やはりそのビジュアルを前にした可能性を、どうしても捨てきれなかったからに相違ない。だが、本間麻衣というアイドルに私がもっとも引かれたのは、その内奥の多彩さ、旺盛な好奇心に支えられた思弁的な佇まい、自分の感情と、それを上手く言葉にあらわすことのできない戸惑いのいずれも自分の周りに立つ人間に理解されない孤独感、質問をしても欲しい答えを誰も返してくれないと屈託する、世間とのズレを認識せざるを得ないその青春の孤独感であり、そのズレが、アイドルとしての踊りにじかに現れている点である。
むしろ、こうした少女の一面こそAKBにおいてはアイドルのオーソドックスな魅力であったはずだが、その未熟さを過ちとしてアイドル本人にかえさなければならないその事態を、一体、誰にどう咎めるべきか。

 

総合評価 56点

問題なくアイドルと呼べる人物

(評価内訳)

ビジュアル 14点 ライブ表現 3点

演劇表現 10点 バラエティ 15点

情動感染 14点

AKB48 活動期間 2016年~2021年