僕が見たかった青空 安納蒼衣 評判記

僕が見たかった青空

(C)安納蒼衣 Instagram公式アカウント

「リフレクティブ・アイドル」

安納蒼衣、平成19年生、僕が見たかった青空の第一期生。
具体性で語らせず、印象で語らせる少女という意味では正真正銘のアイドルと言えるだろう。その点で、たとえば乃木坂46の星野みなみを想わせなくもない。とりわけ、日常の一瞬の美しさ、時間の尊さなどを見過ごすまいとする、らんらんとした眼差しの強さ、困難をマイペースに乗り越えていく、しなやかな強さをもつ一方で、非常にリフレクティブであり、屈託して見えるという点が、星野みなみとよく似ている。
およそ、偶像=アイドルというものには二つの道がある。眼前の容赦のない現実、生きるという事の生々しい手触りを、そのままファンに突きつける事で、そのそれぞれの身内に活力をたぎらせる少女がいる一方で、そこからの全くの退却を許す少女もいる。過酷な現実生活を忘れさせる、甘美な逃避の門をどこまでも開放してやる事で、日常に疲れ果てた人間に再び呼吸をさせる、非日常の提示。これもまた、一つの歴然とした活力に違いない。だが、安納蒼衣を眺めていると、ひさしく、奇妙な惑乱におちいる。彼女は、音楽の作風に徳育された、たとえば『卒業まで』以降の、一連のパフォーマンスに顕著であるが、その眼差しの強さゆえに現実としてファンの前に立ち塞がるも、ひとたび音楽のステージに立てば、たちまちファンをここではないどこかへ連れ去ってしまう。ある種、アイドルがサプリメントとして消費される今日のシーンにあって、これほど心強い存在があるだろうか。もちろん、そこには矛盾などない。現実と夢幻とが、何のてらいもなく、一つの必然として握手することが、アイドルの条件とされているからである。安納蒼衣は、ただの歌い手でもなければ、作られた人形でもない。その両極を平然と往復し、反射させてみせる、実にもって、不可思議きわまる「生まれながらの偶像」と評価できる。

 

総合評価 61点

アイドルとして活力を与える人物

(評価内訳)

ビジュアル 13点 ライブ表現 14点

演劇表現 11点 バラエティ 11点

情動感染 12点

僕が見たかった青空 活動期間 2023年~