乃木坂46 金川紗耶 評判記
「やんちゃなやんちゃん」
金川紗耶、平成13年生、乃木坂46の第四期生。
玄人筋をして、最もダンスの上手い若手アイドル、と唸らせている。鑑賞者に不意打ちを喰らわす優雅なシルエットの持ち主で、絢爛をきわめる乃木坂46にあって群を抜く華麗さを誇る。卒業生、現役を問わず、「額縁衣装」の最もよく似合うメンバーであり、煌びやかさの裏にある儚さをステージに落とすその立ち姿は、破格である。
ビジュアル、ダンスはもちろん、――覚悟の意味で――度胸も相当にある。言動の果敢さ、生命感など、多様性の魅力を挙げていけばキリがない。とりわけ、グループの過去の物語に向ける敬意とは裏腹に、ほとんど本能的に「過去」を裏切り毀してしまう野蛮さによってむしろ乃木坂の伝統的なカラーに全身を染めるという倒錯に、その資質を認めるべきだろうか。大衆に傷めつけられた青春、といった個人的な事情を背景にしつつ、少女の純粋さが徐々に損なわれて行くのと引き換えに純度の高い夢が立ち現れるという、今日のアイドルの性(さが)を正統的なものとして示す。”乃木坂らしさ”への問いかけに対して多角的に応答できる数少ないメンバーとして、指を折るべきだろう。
アイドルとしての姿勢、とくに、旺盛なファンサービスと、ビジュアル・踊りのうつくしさが正当に評価され、高い人気を獲得した今、彼女の野蛮さは鳴りを潜めたが、しかしいつか抑えきれずそれが顔を出すのではないか、予感させもする。ゆえに常にスリリングな気配に満ちたアイドルだと呼べる。
総合評価 74点
アイドルとして豊穣な物語を提供できる人物
(評価内訳)
ビジュアル 15点 ライブ表現 16点
演劇表現 12点 バラエティ 17点
情動感染 14点
乃木坂46 活動期間 2018年~
2023/10/15 演劇表現 8→12