STU48 塩井日奈子 評判記
「ロジカルシンキング・アイドル」
塩井日奈子、平成12年生、STU48の第一期生。
演劇の分野においてきわめて心細く頼りないSTU48にあって、わずかながらでも演劇への可能性を見せた貴重なメンバーである。飾り気のない、深窓の佳人というイメージと、教育・境遇によって育まれたであろうプライドの高さが、知的であることを情熱的に映し出すという魅力を象り、役者への憧憬を広げている。そのこけおどしではない出で立ち、特に剣呑であるところ、またある場面では狷介にもなるその毅然とした性格に共鳴したのだろうか、グループのエースである瀧野由美子に一目置かれていたメンバーでもある。
物事を体系的にまとめ上げ、筋道を立てて言葉にできる点、自分が打ち立てた理屈どおりに物事が運ばないと、途端に、生来の高いプライドが顔を出す点などが、この人の個性になるだろうか。理屈で動く人は、自分が客観的であると思い込む傾向があるが、塩井は特にその傾向の強いアイドルで、ゆえにあるひとつの共同体のなかでルールに基づき常識的に振る舞う人間、つまり厳とした主観をもった、融通の利かない人間に対し多くの場面で折り合わなかったようである。正しい理屈を積み上げ、それを作り手やファンに投げかけるも、納得してもらえない。自分の言葉に説得力がでない、という現実、思うように人気を得ることができない現状に、我慢ならなかったようである。
野心に満ちた人は、自分が同じ場所に留まっているのではないかという自覚に、慄えるものだ。STUの一員でありながら、「東京」に恋い焦がれ立身出世を思う、彼女のその無軌道な衝動が、『暗闇』から『風を待つ』への作風の転換に呼応していることに、思い至る作り手がいたならば、あるいは、違った結末が描かれたかもしれない。
卒業の理由には「学業」を挙げた。そのとおり「慶應義塾大学」へと進学した。
総合評価 61点
アイドルとして活力を与える人物
(評価内訳)
ビジュアル 12点 ライブ表現 11点
演劇表現 12点 バラエティ 13点
情動感染 13点
STU48 活動期間 2017年~2018年