評点一覧 女優版 吉永小百合から河合優実まで

「女優の値打ち」
私はあくまでも作家で、芸能界に身を置いているわけではないが、それでも出版社に顔を出したり、編集者と付き合ったりしていると、芸能界の裏話のようなものも耳にする。そのすべてが、取るに足らない噂話にすぎないのだが、アイドルで言えば、こんな話を聞いたことがある。グループアイドルの中から女優としてブレイクしそうな少女が出てくると、人気女優などを抱える大手の芸能事務所はそのアイドルとよく似た少女を探し出して、女優としてデビューさせるのだと。私には、売れっ子のアイドルとどこか似た雰囲気をもった少女が女優として同時期に出現する偶然の出来事への、ある種の、時代・トレンドに要請された出来事への、後付の解釈にしか思えないが。いずれにしても、この世の中は、どこだって、食うか食われるかの、順位闘争の世界なのだ。序列闘争においては、政治、芸術の世界がもっとも熾烈で、才能の墓場に思われるが、芸能界、とりわけ役者の世界は魔境だ。
エンターテイメントの世界は、常に「人気」という絶対的な評価にさらされ、才能・実力が認められる基準も極めて狭く、嫉妬や権威に潰されやすい。それでもなおその華やかさにおいて多くの人間の欲望を誘ってやまない。 俳優業というのはまぎれもなくエンターテイメントに成り立つ職業だが、役者は芸術のごとくその技を磨くことを求められる。もちろんそれは歌手も変わらないが、芸能において俳優業が花形と呼ばれ久しいのは、やはり、自分とは別の、違う誰かの人生を演じるという鋭意に、神秘性を認めるからだろう。役者に会って話をしていると、その人のことをいつかの作品で眺めた「役」と同一視してしまうことが、よくある。映画で見た世界が眼の前に広がっているかのような錯覚に陥る。そうした瞬間、私はそのひとに言いようもなく引きつけられ、彼女のことを触れてはならない神聖な存在に感じてしまうのだが、それこそが神秘の意味であり、力なのではないかと思う。
以下に、私が思いつくかぎりの日本の女優の名を、一定の評価基準のもとに列挙した。思いつくかぎりの、と言ったのは、要するに自分が過去に考えをめぐらせたことがある、あるいは、なにがしかのかたちで文章に起こしたことがある人物を指すのだが、これは先手を打って言い訳しているということでもある。以下の表に、もし誰もが知る有名女優の名が漏れているとすれば、それは私の落ち度、浅薄であると言うしかない。
90点以上 世界水準の女優
80点以上 日本を代表する女優
70点以上 並外れて優れた女優
60点以上 実力派と呼べる女優
50点以上 問題なく女優と呼べる人物
40点以上 辛うじて女優と呼べる人物
39点以下 女優の水準には達していない人物
29点以下 演技的な教養は皆無に思われる
